15:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:33:55.89 ID:3QcdtyFE0
◇
なにか、足音のようなものが聞こえた気がして俺は目が覚めた。
薄目を開けて部屋を見渡すも、カーテンから明かりが漏れている気配はなく、部屋は漆黒に包まれている。
なんだ、気のせいか。
まだ寝ぼけていた俺は、そんなことを思いながらもう一度寝なおそうと体勢を変えようと身体を横に――――
できなかった。両足に、何か、太いひものようなものが巻き付いている。飛び上がるように体を起こそうとするが、
「うっ!」
ぐっ、と引き戻されてしまってそれはかなわない。原因は、腕だ。両手が頭の上で交差した形で縛られている。
「……っ」
急激に覚醒していく意識の中で、俺の頭の中ではここ二日間で起こったことがリフレインしていた。そうだ、まゆの人形があって、それで、俺は。
「うふ……♪」
その時だ。
聞こえてはならない、いや、一番聞きたくなかった声がした。いつもは俺を和ませてくれる、でも決して、今は聞こえてほしくなった声……。
パチンと何かをはじく音がして、たちまち瞼の裏に光が差し込んだ。どうやら、『何か』が部屋の電気をつけたらしい。体を震わせながら、それでも決死の覚悟で目を開けて周囲を確認する。
「やっと、気が付きましたかぁ」
声の主はそう言って俺に近づいてくる。フリフリの赤い衣装に身を包んだ彼女は――――間違いなくまゆ人形そのものだっただった。
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