7:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:22:34.36 ID:3QcdtyFE0
◇
夢を見た。
場所は、事務所……だろうか。目の前にはまゆが、祈るように手を合わせながらこちらを見つめている。
「お返事を……聞かせてもらえますか?」
どうやら、まゆからの何かしらの提案があったらしい。俺の思考とは関係なく、口が、
「ダメだ」
と声を発する。瞬間、まゆの瞳が濁るのを感じるが、俺はお構いなしのようだ。続けて、
「俺たちはアイドルとプロデューサーじゃないか。俺だって、まゆの事は嫌いじゃないさ。でもな、トップアイドルになりたいんだろう?だったら、俺との恋愛なんてするべきじゃない。心配しなくても、俺みたいな男はそこら辺にごろごろ転がってるよ。まゆはまだ16歳だ、こんなさえない男、すぐに忘れてもっといい結婚ができるようになるさ」
と、堰を切ったように話し出した。
もし、もしもまゆが俺の事を憎からず思っていて、いつかこんな日が来たとしたら、俺はこんなふうに断ることになるのだろうか。彼女の告白を断っているのは俺であって、俺じゃなかった。どこか冷静にこの状況を観察しながら、俺は漠然とまゆとの関係について考えていた。
「わかりました」
飽きもせず、あるべき関係について語っていた俺の言葉を遮るように、まゆはそうぴしゃりと言った。一度は伏せたていた顔をあげ、再び俺の方を向く。どうやら、あまりショックを受けた様子でもないらしい。
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