8:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:23:27.27 ID:3QcdtyFE0
「Pさんがそういうのなら、まゆにも考えがあります」
そう言って、ゆっくり、一歩一歩踏み占めるようにこちらに向かってくる。近づいてくるまゆにはなんとも形容しがたい迫力があって、本能的に逃げようとするも足が動かない。そうして、まゆは俺の目と鼻と先まで迫ると、
「……ぁ!? ま、まゆ……」
その細い両の腕の手のひらを俺の首に絡みつけるのだった。
苦しい。呼吸ができない。
あの小さな手のひらの、どこにこんな力があるのだろう。抵抗しようにも彼女の腕はびくともせず、むしろ首を絞める力が強まっていくような感覚さえ感じられる。
「まゆはPさんのもの……。だから、Pさんもまゆの物になってください。ね?ね?ね?」
ね、ね、ね、ね……。次第に薄れていく意識の中、まゆの何度目かわからない「ね」が頭に響いて、そして……。
「っ! はぁ、はぁ……」
そこで目が覚めた。壁にかけられている時計をちらりと確認すると、いつも起きる時間、タイマーをセットしている時間の20分ほど前であることがわかる。無意識に首に左手を当てる。当然、まゆの手がかかっているわけではない。あらくなった息の中、俺はひときわ大きな息をついて自分の右のてのひらをに目を向けた。じとりと、汗で湿っている。
嫌な夢だった。
首どころか、全身をわしづかみにされているようなゾッとするような感覚がまだ残っている。これまでに見た夢の中でも一番恐ろしい夢だと言っても過言ではないだろう。とにかくリアルで、できることなら今すぐにでも忘れたかった。
枕元に置いていたスマートフォンを起動する。まゆからの新着のメッセージがないことが唯一の救いのように思えた。
全身にじっとりとかいた汗を今すぐにでも洗い流したかった。シャワーをあびようとベッドから体を出して、そして……
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