佐久間まゆイチブンノイチ人形
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6:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:21:38.81 ID:3QcdtyFE0

 まゆ人形と相対して数十分。俺は何度目かわからない驚きの声をあげていた。

 1分の1フィギュア、というワードはどこかで聞いたことがある。あまり興味があるわけではなかったが、テレビ局などに飾られている大きなマスコットキャラクターなどでその類のものは見たことがあった。だから、驚いたのはそこではない。

 たしかに、そういう人形はある。だからと言って、ここまで精巧なものが人に作れるものなのだろうか。

「まゆ人形」のクオリティは常軌を逸していた。肌に触れてみると、本物の人間との違いは人形が少し冷たいくらいだろうか、そのくらいの違いしか感じることができなかった。何の材質なのか見当もつかないがもちもちと柔らかく、それでいて深く押し込むと骨のような固い感触を感じる。

 もしかしたら、この人形の重さからしてまゆの体重まで再現しているのかもしれない。表情はいつも見る微笑んでいるまゆを忠実に再現しており、もしこれが本物のまゆだと言われても何ら不自然のない。写真で見たら本物と間違えてしまいそうなクオリティだった。

 こんなすごい人形、誰に依頼して作ってもらったんだ? 相当金もかかっただろう、一体いくらかかったんだ? 色々な疑問も頭に浮かんだが、一番の悩みはこれをどこに置くべきか、ということである。

 なにしろどう見てもまゆだ。割れ物を扱うようにそっと部屋の中央に立たせてみるが、その存在感は半端なものではない。人型の物が部屋につっ立っている状況というのはそわそわして、自室にいるというのになんだか落ち着かない。

 時計を見ると、もう23時をとっくに過ぎており、もう日をまたごうとしているところだった。明日も仕事がある。俺は軽くシャワーをあびてから、まゆ人形を箱の中にそっと戻すことにした。問題を明日以降に先送りすることにしたのだ。

 ぎょろり、と。箱に入れるとき、まゆ人形が俺をみた気がしたのは、気のせいだと思うことにした。



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