25:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:09:16.57 ID:PhxU7pY/0
「私、人の感情の機微にはだいぶ敏感な方だと思ってたんだけど、あまりにも突然だったから」
「……?」
「最近付き合い始めたんだったら、すぐ分かるものだとばかり」
「…………」
「だから、いつそういう間柄になったのか、純粋に気になっちゃって」
26:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:09:52.57 ID:PhxU7pY/0
まず俺と三玖がやらかした背景には、どうしようもなく二乃の存在が絡んでくる。……が、ここで一花にみすみすそのことまで話してしまっていいのかという疑問が湧いた。それは知られないに越したことはないし、なんなら知られたくないことだから。これ以上弱点を増やしてしまっては全身が急所になる。願わくば、それは避けたい。
かと言って、その出来事を抜きにした説明で彼女を納得させられるかといえばそれもまた首を傾げざるを得なかった。そもそも俺の偽証能力が試される課題でもあるし、深く突っ込まれたら粗が出るのは必至。であればふわふわした曖昧な説明で納得してもらうしかないが、果たしてそれで上手く行くかどうか。
27:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:10:46.55 ID:PhxU7pY/0
一旦落ち着こう。まずは各々の立ち位置と知っている情報を確認するべきだ。
関わっている人間は俺、一花、二乃、三玖の四名で、それぞれ蓄積している情報量には差異がある。俺の関与しない場所で駆け引きが生じている可能性もあるが、そこまで考慮すると厄介なので、ここでは俺の視点から見たことを中心にまとめておこう。
まず二乃。一言でまとめれば元凶。あいつの存在なくして今の俺の思考はない。この構文は感謝をメインに扱われるものだと思って生きてきたが、どうやらそんなこともないらしい。三玖の発言を聞いている以上その後何が起きたかも察しているだろうし、ポジション的にはかなり深いところにいる気がする。
次に三玖。助けられたようで、その実色々と複雑になっただけだった。今になって思えば、いっそあそこで全部放り投げていた方が精神的に楽だったのではなかろうか。信頼関係云々とか言っていたが、正直もう胃が痛い。再構築のワンチャンスに賭けてみた方がマシだった説すら俺の脳内に浮上している。
そして一花。おそらく二乃とのことは知らないから、そのあたりの事実関係をどう誤魔化すかに全てがかかっている。だが、ぶっちゃけ自信がない。どこかでミスをする気がしてならないのだ。
28:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:11:19.49 ID:PhxU7pY/0
「付き合ってはいない」
「え」
「その場の流れだった」
「え」
「どうしようもなかった」
29:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:11:47.17 ID:PhxU7pY/0
「え?」
「聞き直されても、同じことしか言えないが」
「ええ?」
「いや、だからその、若気の至りというか……」
「…………」
30:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:12:33.39 ID:PhxU7pY/0
「せ、性に奔放なんだね」
「はっきり言ってくれ」
「ちょっと最低……」
だろうなーと頷く。当の俺とて同一の見解を示しているのだ。状況は地獄めいて複雑で、もはや何もかも収拾がつかない。勘弁してくれよと匙を放り投げたくなる気持ちでいっぱいなんだ。
31:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:13:10.75 ID:PhxU7pY/0
「……で、ものは相談なんだが」
「なに?」
「その、今後も家庭教師を続けるにあたって、今回のあれこれはどうか見なかったことに……」
「……ふーん」
32:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:14:01.68 ID:PhxU7pY/0
「ねえ、フータロー君」
「なんだ」
にこやかな顔で、一花は。
33:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:14:50.80 ID:PhxU7pY/0
なんて一言を告げた。
まあ、予想できたことだ。対人関係において培ったアドバンテージを口約束で投げ捨てる人間というのは、きっとそう多くはない。
だからおそらく、俺がここで何かしらの代償を支払うことにより、利益の釣り合いをとるのだろう。それで済むのなら可愛いもので、今後のリスクを考えるならこれは限りなく必要な犠牲だと断言できる。
問題は要求内容がどんなものになるかだったりもするのだが、こと一花において必要以上に無茶なことは起こらないだろう。そのあたりは信用が出来た。
とにかく、時間なり金銭なりで解決できるのならそれに越したことはない。襲い来る脅威をマネジメントするという観点から見れば、ここが一大ターニングポイントであることは疑いようもないのだった。
34:名無しNIPPER[sage]
2019/01/08(火) 22:37:51.65 ID:vepj+xO9o
期待
35:名無しNIPPER[sage]
2019/01/08(火) 22:43:14.90 ID:AWG2gNd70
待ってた
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