【FGO】キルケーは都合のいい女のようです【R-18】
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7: ◆BAKEWEHPok[saga]
2019/01/11(金) 22:58:09.58 ID:/IycqXKA0




白くモヤめいた広い浴室には湯気とは別に暖房がついており、部屋全体にじんわりとした熱が籠もっている。
シャワールームのみとも既存のユニットバスとも違う、わざわざマスター用に特注で作らせた数人は余裕で入れる大きめな浴槽へと二人で浸かっていた。
今度は向き合う姿勢になっており過度の接触はしてない。
湯船で二人たゆたっている姿はとても自然で、何度も一緒に入浴しているというのがわかる。

「うーんいつもながらお風呂はいいなー。ローマで流行ってたのも当然だね。
 島じゃ水はあっても浸かるだけのお湯を毎日用意するのは少し手間だったからさぁ。
 知識でしか知らないけど、温泉だったらもっと気持ちがいいんだろうねぇ、ふぅっ……」
「そんな好きならいつか一緒に行くか? どっかの特異点にはあるだろ。余裕があればだけどな」
「え…………あはっ! 嬉しいなぁ! そうだね行きたい! 連れてってほしいな!」

思ってもいなかったと一瞬呆然と驚いた顔をほころばせて、溢れ出す感情とともにキルケーが抱きついてきた。
紅潮した頬に花開くような笑顔は喜びに満ち満ちていて、魔女ではなく見かけ通りの少女にしか見えない。

「おう約束だ」

いつになくマスターが優しい顔をしながらキルケーを見つめ返す。
半端にまとめていて垂れ落ちた髪が湯船で揺れると、水滴と光の瞬きで琥珀めいた色合いで煌めいていた。
宝石を織り込まれたかのように輝く髪をマスターがいつものように撫でていると

「あ……治ってきてるけど傷が増えてるね…………」

笑顔だったキルケーの表情が曇る。
戦場の兵士のような傷跡がある身体を労りの眼差しで見つめた。
ほんの数日前に受けた傷は癒えてはいるもの、刃物によって線状に痛々しく色が変わっている。
跡をゆっくりと指でなぞり、はぁっと悲しげに息を吐く。

「今回の特異点もホント激戦だったからな。3回目だっけな。何度も戦争に巻き込まれたら、そりゃこれぐらいの怪我もするさ」
「そうだろうけどね。悔しいな……私がキャスターじゃなくて、もっときみを守りやすいクラスだったら、こうはならないのに……」
「ま、ウチは守備が弱めでちと攻撃に偏ってるからな。あるもんでどうにかするしかねーわ」
「ちっさいほうのメディアみたいに治療にも本腰いれようかなぁ……」

キルケーはいたましげに傷跡へと指を這わせる。
その動作はひどく優しくて、幼子でも撫でるかのようだ。

「こんなに傷ついて……見てられないよ……ね、マスター……
 力不足かもしれないけどさ、きみを守りたいから……もう少し私も戦いに連れてってくれないかい? もっと私を頼ってくれよ」

しっとりと抱きしめる身と声にはマスターへの思慕が込められている。
子供のような見かけにそぐわない深い慈しみは、マスターを恋人というだけではなく、まるで子供のようにも想っているのかもしれない。
やんちゃなマスターであっても、或いはだからこそ、彼にとって都合のいい女であるのかもしれなかった。
想いまで繋がっているように、二人の視線が絡み合って

「いやー単体バスター宝具は三蔵ちゃんいるから間に合ってるわ」

いたのだが、連れていってはくれなかった。子は親の心を知らないものである。


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