中野四葉「まにまにりぽーと」
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112:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:29:22.76 ID:5Sstbg/l0
胸を張る四葉。その仕草があんまり年不相応なもので、ついつい吹き出してしまった。
「あー、馬鹿にした!」
「してないしてない」と手を振って否定した。微笑ましかっただけだ。
113:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:29:50.67 ID:5Sstbg/l0
「俺の言ったこと気にしすぎだろ」
「私なりに思うところがあったんですよ」
「お前、そういうとこ変に真面目だよな」
融通が利かないとでも言うか。実直さの弊害なのかもしれない。
114:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:30:21.60 ID:5Sstbg/l0
今日の頭に考えたことを思い出していた。なぜこいつが笑顔を絶やさずに生活できていられるかが謎だったが、そんなのはなんてことない、ただの発想の転換に過ぎなかったのだと理解する。
与えられた環境に文句を言うのは簡単で、だけど打開するのは誰にでも出来ることじゃない。それをこいつは、その中でどれだけ自分が楽しめるかに主眼を据えて生きている。
住めば都ではないが、住んだ場所を都に変える能力とでも言えばいいか。お気楽に見えて、こいつが一番真理に近いところに立っているような気がする。
115:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:30:59.68 ID:5Sstbg/l0
「その前向きさは、俺も見習った方がいいなと思っただけだ」
「私みたいな上杉さんは、ちょっと気持ち悪いかもです」
「完全にトレースするわけねえだろ。コラ、俺にリボンつけようとすんな」
「今日はあの髪飾りがあるので」
「そうか。いやそうじゃねえ。なぜそのレベルで形から入ると思った」
116:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:31:28.78 ID:5Sstbg/l0
要領を得ないやり取りをしばらく繰り返し、無駄に目立つリボンを互いに押し付けってから、それでも最後はなんとか四葉の頭部にそれを戻す。
無駄にパワフルな彼女の気にあてられて、休憩のために街路樹に背中を預けた。こんな用途で設置されたものではないと分かっているが、今だけはどうか許してほしい。
117:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:32:00.63 ID:5Sstbg/l0
「もしかしたら上杉さんに似合うかもしれないのに」
「似合ったとしても付けねえよ」
「そんなこと言わずに一度だけチャレンジしてみません?」
「お前がブラック飲むのとはわけが違うんだよ」
118:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:32:48.36 ID:5Sstbg/l0
「ぶー」
「拗ねるな。ダメなもんはダメだ」
「ぶーぶー」
「その異様な執着は一体どこから出てくるんだよ……」
「ただの好奇心ですが」
119:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:33:37.73 ID:5Sstbg/l0
「上杉さん」
「なんだよ」
「楽しめました?」
「幸運にもな」
120:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:34:22.60 ID:5Sstbg/l0
「なら良かったです。上杉さん、最近ずっと忙しそうだったから」
「忙しいのは今に始まったことじゃねえんだけどな」
四葉の額を軽く小突く。
121:名無しNIPPER[saga]
2019/02/04(月) 21:35:13.76 ID:5Sstbg/l0
本当にもう、毎日がてんやわんやだ。自分の世話もしないといけないし、家族だっている。そんでもって、こいつらから目を離すわけにもいかない。
いつの間にか五つ子の扱いが自分や家族と同列になってしまっていることにぎょっとするが、そこらへんに関してはいい加減に認めなくてはならないのかもしれなかった。気付けば、こいつらの存在なしに上杉風太郎は語れなくなっている。
「早えな、時間が過ぎるの」
「楽しい時間はあっという間ですから」
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