4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/02(土) 16:05:40.14 ID:n48ufXgR0
「……猫さん、でしょ?」
じっとりとした目線が突き刺さる。
「はは、そうですね。すいません留美さん、猫さん」
「……ふふっ、冗談よ。さっきからかわれたから、そのお返し」
彼女は少し睨めつけるようにしていた視線を脱力させ、再び微笑んだ。
その笑みは先ほどの柔和で大人びた微笑とはまた色合いの違う、諧謔めいた、キラリと光るような笑顔であった。
思い返せば、スカウトしてきた当初は、彼女は思い悩み、作り笑顔すらも上手く出せないような人物だった。
それが、アイドルを通して、変わっていった。いや、今でも刻一刻と変わっている。
彼女が浮かべた、今まで見たことのない表情を目の当たりにし、俺は彼女の紡いできた歴史に想いを馳せた。
「はぁ……本当に可愛い猫さん……でも、お外にいたら寒いわよね。……そうだ」
そういうと、彼女は自分の被っていたニット帽を脱ぎ、大きい方の雪だるまの頭へと被せる。
「これで少しは暖かいかしら。小さな猫さんにも被せてあげたいのだけれど……あいにく一着しか持ってないの。ごめんなさいね」
雪だるまの頭を撫でながら、彼女はそう呟いた。
「留美さんは本当に猫さんが好きですね」
「ふふっ、だって可愛いんだもの。でも私はアレルギーがあるから……けれど、この子ならいっぱいいっぱい撫でてあげられるわね」
「そうですね。思う存分撫でてあげてください」
「ありがとう。よければPさんも、一緒に雪遊びしましょう? ずっと寒いと気が滅入ってしまうけれど、たまにはこういうのもいいでしょう?」
「はは、それじゃあ是非に」
そして俺と留美さんはしばらくの間、雪遊びに興じた。猫の雪だるまを愛でたり、その隣に二人で新たな雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり。
俺も彼女もワーカホリックなだけあって、そういう性質が元来体の根底にあるのだろう。一度やり始めると白熱してしまい、気づけばそれなりの時間が経っていた。
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