和久井留美「冬の寒さに絆されて」
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5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/02(土) 16:06:26.43 ID:n48ufXgR0
  ◇



  「ふぅ……思ったよりもはしゃいでしまったわ」

 一頻り雪と雪だるまと戯れ、再び俺たちは歩き始めた。日は少しずつ長くなってきているとはいえ、まだまだ冬の真っ只中である。
 煌々と輝いていた陽の光は徐々に傾き始め、冷気も少しずつ身を強く刺すようになってきた。

  「でも、楽しかったですね。大人になったら雪遊びってしなくなりますからねぇ……おぉ寒」

  「そうね、楽しかった……けれども、本当に寒いわね……指先も足も冷えちゃって」

  「まあでも、もうすぐ着きますんで。今日は暖かくしてゆっくり休んでください」

  「ええ、そうさせてもらうわ。わざわざ家まで送ってくれて……ありがたいけれど、私ももう26の大人だし、一人で帰られるのよ?」

  「いえいえ、これぐらい全然問題ないですよ……と、着きました。このアパートでしたよね?」

 目の前に現れたのは、白を基調とした外装の、小さなアパート。
 建てられてまだ日が浅いようで、塗装の剥げや備品の経年劣化なども少なく、清潔感のある見た目となっている。ここが彼女の住まいだ。

  「ええ、ここであってるわ」

  「それじゃあ無事送り届けたということで。俺ももう帰りますね。今日はお疲れ様でした、重ね重ね言いますがくれぐれも体調にはお気をつけて」

 彼女にそう伝え、帰路に着くため踵を返したその時、後ろから少し上ずったような声が聞こえた。
 

  「ま、待って! 流石にこんな寒い中家まで送り届けてもらって、そのまま帰すのも気がひけるわ。
   時間があるのなら、少し上がって休んでいかない? コーヒーぐらいなら出せるから……」

 そう言われると、こちらとしては正直ありがたい。
 いくら手袋をしているとはいえども、年齢を考えず雪と触れ合った結果、指先が千切れそうなほど冷えている。
 自分の身体の劣化に、しみじみと打ちひしがれていたところであった。

  「そうですか? じゃあ……せっかくそう言ってくれるなら、少しだけ。お邪魔します」



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