星梨花「ちょっとだけ大人になった日」
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7: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:00:27.67 ID:cQcjrJXB0
「ごめんなさい! 私、勉強は得意なのに……」

「ううん、私の方こそごめんね。せっかく星梨花ちゃんの誕生日なのに、こんなに辛気臭い私なんかと一緒で……」

そう、今日は私の誕生日である。今朝、彼女と会った時も、開口一番お祝いをしてもらったのと共にプレゼントを渡された。彼女の他にも今日出会った仲間たちやプロデューサーからもプレゼントを貰った。明日には事務所で誕生日パーティーを開く予定である。
以下略 AAS



8: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:01:16.09 ID:cQcjrJXB0
仲間の誕生日は全員で祝う、これは765プロの伝統である。要するに、仲間の誕生日は決して他人事ではないのだ。

それは受験を控えた彼女とて例外ではない。受験勉強と仕事の合間に、私のためにプレゼントを買いに行っていたのだとすると、何だか申し訳ない気分になってくる。



9: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:01:54.91 ID:cQcjrJXB0
「はぁ……」

彼女は依然として眉間に皺を浮かべたままだ。都内の公立高校の入試は二度あり、彼女は一度目の試験を逃している。彼女の志望校は都内でも有数の公立高校であり、例年倍率は高い。志望を下げるという選択もあったが、彼女は意志を変えない決断をした。その決意の裏に、どれほど壮絶な葛藤や苦悩があったのか私にはわからない。しかし、彼女が答えにたどり着いたことが容易ではないことは私にもなんとなく理解できた。



10: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:02:48.34 ID:cQcjrJXB0
「あのっ」

気づいた時には声に出ていた。

「どうしたの、星梨花ちゃん?」
以下略 AAS



11: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:04:02.49 ID:cQcjrJXB0
困った。彼女の気遣いは嬉しいが、口先を衝いて出た言葉であるが故に、何を尋ねるべきなのか分からない。私が思いあぐねて黙っていると、彼女の方から催促してきた。

「別に何でも大丈夫だよ。私、これでも星梨花ちゃんよりお姉さんなんだから、遠慮せずに言ってごらん?」

彼女の言葉により私の思考はさらに混沌を極めた。
以下略 AAS



12: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:05:11.04 ID:cQcjrJXB0
「どうしてそんなに苦しい思いをしてまで、勉強するんですか? 確かに勉強は大事ですけど、そこまでする必要があるのかなって……」

ここまで言って私は慌てて口を塞いだ。これでは彼女の努力を否定しているようなものだ。



13: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:06:15.74 ID:cQcjrJXB0
「……ごめんなさい」

私は顔を伏せた。私は彼女の顔を見るのが怖くて、目線を戻すことができなかった。

やってしまった。もっと考えて話すべきだった。
以下略 AAS



14: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:06:46.28 ID:cQcjrJXB0
「夢があるんだ」

その言葉は、強くはっきりと鮮明に発せられた。声の主を見遣ると、その瞳は先程とは別人のように輝いていた。

「私ね、研究者になりたいの。まだ誰も見たことがない景色を見てみたくて。だから私はやめない。諦めないよ、絶対に」
以下略 AAS



15: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:07:39.12 ID:cQcjrJXB0
この時、彼女がどこか遠くに行ってしまう錯覚に陥った。二歳年上の同期は、私の思っている以上にお姉さんだった。私などでは到底及びそうにないと、そう感じた。

「も、もちろん、アイドルも続けるよ! 星梨花ちゃんたちとトップアイドルになるのも、私の夢だから!」

何も言えない私を気遣ってか、彼女は慌ててフォローを入れる。
以下略 AAS



16: ◆W56PhqhW.M
2019/02/20(水) 01:08:22.79 ID:cQcjrJXB0
「百合子さんは、大人ですね。大きな夢があって、それに向かって頑張れる。……すごいです」

それに比べて私は、とは言いかけたものの、寸前のところで思いとどまった。これ以上、彼女を困らせるようなことをしたくない。



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