【モバマス】 和久井留美「富士そばには人生がある」
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20:1[sage saga]
2019/02/22(金) 12:51:59.93 ID:+K0KOsmIO

 完全なる一杯が出来上がるまで、しばしの辛抱――うどんをいただきましょう。


「……ずずっ」


 うん、ごく普通のうどんね。コシもへったくれもない「ただの麺類」だわ。
 何の障害もなく呑み込めてしまう、麺という形状をとった炭水化物……。それがこのうどん。


(さてと……)


 いや、まだ我慢よ――そうだ、ビールとカツ丼を忘れていたわ。


「カツ丼は……」


 ……うん、悪くない。美味しい。

 少しレトルト――というか、冷食のような感じは否めない。けれど、そばつゆか何かを出汁に使っているのか、まさに「そば屋さんのカツ丼」という一品。
 ほろほろのカツと、つゆが染みたごはん、とろとろの半熟卵――やわらかな、シルクのような口当たり。何のストレスもなく、名残惜しささえ感じてしまう。

 酔っているせいもあるけれど、一口が更なる一口を求めてしまうような、後を引くような美味しさ。女性として行儀が悪いかもしれないけれど、思わずかき込んでしまいたくなる。


「……ぷはっ!」


 カツ丼をビールで流し込む。ご飯ものとビールのマリアージュ、意外と悪くない――それどころか、最高だ。
 完全におじさん……だが、それでいい。


(まだ、コロッケはまだ我慢よ……)


 すかさずうどんを啜る。コロッケ、カツ、ビールという個性が強い組み合わせの中、唯一の無個性(失礼)。
 無個性かもしれないが、それでいいのだ。個性も主張が強すぎると喧嘩する。このうどんは言うなれば寿司屋のガリ、刺身のツマ――強すぎる個性をリセットし、新鮮な状態でリスタートする為のつけあわせなのだ。


(うどんをつけあわせと思える日が来るなんてね……)


 うどんを啜り、ビールを一口。そしてカツ丼を頬張り、更にビールで喉を鳴らす。


(圧倒的、背徳感……!)


 いいのよ。今夜くらい、いいでしょ……?
 周りにどう見られようが気にしない。深夜に食べて体重が増えようが気にしな――それは気にするかもしれないけれど。






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