R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part2
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塔の主
◆VfcsCSY7us
[saga]
2019/04/30(火) 18:53:50.19 ID:Ro23D7sj0
「そんな辛い時に…一緒にいてあげられなくて」
抱きしめるクチナの腕に力が籠る。
「ごめん…ごめんね…」
逃れられない理不尽な運命を背負ったかつての少年に、クチナはただ謝ることしかできない。
「クチナ先輩…そう思ってるなら」
ぼそりと、胸の中のヒナトが言う。
「やりなおしましょうよ、クチナ先輩っ…」
「え…」
「戻ってきてください、クチナ先輩。また神官としてやっていけるように俺が話をつけてきますから」
「ヒナトくん…」
急に言葉尻を捕らえて説得にかかるヒナトにクチナは困惑した。
「改めて信仰と忠誠を示していけば、神だって先輩のことを許してくれるはずです!」
説得する言葉には必死さが籠っている。
「だから、俺たちまた、昔みたいに一緒にいましょう! こ、今度は俺が先輩を守りますから…!」
―ああ、そうか…とクチナは納得した。
単純な理由だ。ヒナトは一人が怖いのだ。
一人ではいずれ自分はアレの恐怖に押しつぶされる。
だから彼はクチナという心の支えを欲しているのだ。
「俺は…貴女さえ隣りにいてくれたら、なんだって耐えられるんだ…だから…」
助けを求める悲痛な声がヒナトの喉から絞り出される。
「 一緒に、いてください、よぉっ…! 」
彼の心からの本音がクチナの心を激しく揺さぶる。
一緒にいてあげたい。
昔と変わらぬ気弱な彼の力になってあげたい。
クチナの中にもそう思う気持ちは確かにあった。
しかし…
「私は一緒には行けない」
クチナの言葉は無常だった。
「私には私の、やらなければならないことがあるの」
呻くような彼の声が聞こえた。
「だから…ごめん。ごめん…なさい」
感情を押し殺すような『ごめんなさい』の言葉。
胸の中のヒナトは、怒りか悲しみか…ぶるぶると身体を震わせた。
ぽたぽたと、熱い水滴がクチナの胸元に落ちてくる。
「くそっ…やっぱり、あなたは、魔女だっ…僕を、見捨てていく…酷い人だ…」
呪詛の声は涙声になっていた。
「本当にね。本当に、ひどい…女」
眼前の闇を見つめながら…クチナは小さく呟いた。
唇の端を自嘲に歪めながら…
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