R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part2
1- 20
147:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/04/30(火) 18:53:50.19 ID:Ro23D7sj0
「そんな辛い時に…一緒にいてあげられなくて」

抱きしめるクチナの腕に力が籠る。

「ごめん…ごめんね…」

逃れられない理不尽な運命を背負ったかつての少年に、クチナはただ謝ることしかできない。

「クチナ先輩…そう思ってるなら」

ぼそりと、胸の中のヒナトが言う。

「やりなおしましょうよ、クチナ先輩っ…」

「え…」

「戻ってきてください、クチナ先輩。また神官としてやっていけるように俺が話をつけてきますから」

「ヒナトくん…」

急に言葉尻を捕らえて説得にかかるヒナトにクチナは困惑した。

「改めて信仰と忠誠を示していけば、神だって先輩のことを許してくれるはずです!」

説得する言葉には必死さが籠っている。

「だから、俺たちまた、昔みたいに一緒にいましょう! こ、今度は俺が先輩を守りますから…!」

―ああ、そうか…とクチナは納得した。

単純な理由だ。ヒナトは一人が怖いのだ。

一人ではいずれ自分はアレの恐怖に押しつぶされる。

だから彼はクチナという心の支えを欲しているのだ。

「俺は…貴女さえ隣りにいてくれたら、なんだって耐えられるんだ…だから…」

助けを求める悲痛な声がヒナトの喉から絞り出される。

「 一緒に、いてください、よぉっ…! 」

彼の心からの本音がクチナの心を激しく揺さぶる。



一緒にいてあげたい。

昔と変わらぬ気弱な彼の力になってあげたい。

クチナの中にもそう思う気持ちは確かにあった。



しかし…

「私は一緒には行けない」

クチナの言葉は無常だった。

「私には私の、やらなければならないことがあるの」

呻くような彼の声が聞こえた。

「だから…ごめん。ごめん…なさい」

感情を押し殺すような『ごめんなさい』の言葉。

胸の中のヒナトは、怒りか悲しみか…ぶるぶると身体を震わせた。

ぽたぽたと、熱い水滴がクチナの胸元に落ちてくる。

「くそっ…やっぱり、あなたは、魔女だっ…僕を、見捨てていく…酷い人だ…」

呪詛の声は涙声になっていた。

「本当にね。本当に、ひどい…女」

眼前の闇を見つめながら…クチナは小さく呟いた。

唇の端を自嘲に歪めながら…


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/793.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice