R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part2
1- 20
58:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/04/07(日) 18:08:23.38 ID:41DjWORN0


「これで一年…助けは無し、か…」

壁にずらりと並んだ『正』の文字。

ギンガは毎朝目を覚ますたびに、日ごとにクナイで壁に傷を刻み日数の経過を数えていた。

壁に刻んだ傷を見つめながら、未だ再会することの叶わない主のことを思う。

(ツバキ様は今頃どうなされているのだろう)

タワーの探索を終えて、イノシカ領へ戻られたのだろうか。

それとも…今でも自分を探してくれているのだろうか。

(諦めの悪いお方だからな。あり得る…)

そう考えてギンガは一人苦笑する。

だが、仮にツバキが探してくれているにせよ、一年待って未だに会えないのだ。

備蓄食料も流石に底が見えてきた。

子供たちが飢え死にするくらいならいっそのこと…と危うい考えが頭をよぎることもある。

長い密室生活の中で、ギンガはかなり精神的に追い詰められつつあった。

(…悪い考えばかりが浮かんでしまうな)

いけないと頭を振りつつ、子供たちの相手をして気を紛らわせようとギンガが思ったその時だ。

子供たちが泣きながらギンガのもとに駆け寄ってきた。

「うあーん、うあーん」

「ひっぐ、ははうえー。ごめんなざい、ごめんなざいー」

ラボに残された白衣の生地であつらえた着物を着た二人の愛娘、つゆときりがギンガに謝ってきたのだ。

「どうした、ふたりとも何を泣いている?」

ギンガは泣いているつゆときりの前にしゃがみ込み、同じ高さの目線で語り掛けた。

「あのね、とけい」

「時計…?」

「つゆときりでね、けんかしてたらね、とけいをこわしちゃった」

つゆが持っているのはいつもギンガたちに時を知らせているあの置時計だった。

ギンガは思わず息を呑んだ。

時間の経過を示す時計はある意味この生活において最重要アイテムの一つと言っても過言ではない。

密室じみた状況で時間を知る術が無くなれば、それは精神的な意味で致命的な事態になり得る。

「…ちょっと見せてくれ」

ギンガは内心の動揺を隠しつつ、つゆから時計を受け取る。

いつもカチカチと規則正しく時を刻んでいた針は動きを止めており、時計自体を軽くふってみるとカラカラと中で何かが転がる音がする。

…どうやら本当に壊れているようだ。

「つゆがね、とけいをなげて、かべにぶつけて、こわしちゃったの」

「きりが、わるいの。きりが、つゆのおやつをとったから。うわーん」

ギンガの動揺を余所に、泣きじゃくりながらあやまるつゆときり。

「ああ、よしよし。もう泣くのはやめなさい。つゆもきりも、一緒におやつを食べて仲直りしよう。いいな?」

「う、うん。でも、とけいは?」

「…母がなんとかしてみよう。大丈夫だ、きっと直せる…」

だがギンガには時計の機構についての専門知識など殆どない。

もし壊れている箇所が致命的な損傷を被っていたら完全にアウトだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/793.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice