R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part2
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614:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/07/27(土) 19:14:32.42 ID:oHYtXUDU0
「『ダンジョンマスター』なんて呼ぶ人もいるわねぇ」

またハーブティを一口して、ゆっくりとした口調でオルティナは応える。

「私はダンジョンタワーの中ならたいがいの場所は覗けるし、飛んでいけるわ。だからそんなふうに呼ばれてるみたい。別にダンジョンの主(マスター)でもなんでもないんだけどね」

やはりこの女、只者ではない。

人の姿をしているが、人間であるかどうかも怪しくなってきた。

「…じゃあ、ここもタワーの中…なのか?」

「そうであるとも言えるし、ちがうとも言えるわ。空間の狭間みたいなものね。その中にちょっと手を加えて別荘なんて立ててみたのよ。ステキでしょ♥」

この邸宅が空間の狭間に存在している。

途方もないことをさらりと言ってのけるオルティナにヒイラギは絶句するしかない。

「…警戒しちゃってるわね、ヒイラギちゃん」

「あ、当たり前だ! 大体、何が目的でアタシをこんなところに連れ込んだ!? 」

「だぁって、ほうっておけなかったんだもの」

しれっと言う。

「あのまま道端で倒れてたら、ヒイラギちゃん死んでたかもよ。今回はたんこぶくらいで済んだけど、頭の中でぶわー、って内出血しちゃうことだってあるんだから」

「へ…?」

確かに…意識を失う寸前、後頭部をぶつけたような記憶がおぼろげにある。

「もったいないじゃない。ヒイラギちゃんみたいな素敵な子が、この世の気持ちいいこと何もわからずに消えちゃうなんて」

「へ…素敵…へ?」

「ファンタズマに流れ着いて。ひとりぼっちでがんばって、がんばって。それなのに…道端で頭を打って、寂しいまま死んじゃうなんて」

オルティナが「すんっ」と鼻をすするような声を出す。

「そんなの―悲しすぎるわ」

ヒイラギはオルティナの目じりに涙が浮かぶのを見た。

(憐れんでる…のか? いったいなんなんだ…こいつ)

オルティナの態度にヒイラギは困惑の表情を浮かべた。

オルティナは続ける。静かに揺れる瞳で自分の白い指先を見つめながら。

「ヒイラギちゃんだけじゃない。この世界では女の人も男の人も『幸せ』なことを何一つ知らずに死んでいく人たちがあとを断たない。私だって万能じゃない。そんな人たち全てに救いの手を差し伸べるなんてできない」

「だから…おこがましい言い方だけど、私の手がたまたま見つけたヒイラギちゃんに届いたのは幸運だった」

オルティナは嬉しそうに…本当に嬉しそうに微笑んで言った。

「良かった。本当に…手遅れにならないうちに救えて良かったわ」

そんなオルティナの微笑を見つめながら、ヒイラギは半ば茫然としていた。

(こんなヤツが、この世にいるのか)

もしかして、この人は本当に善意から自分を助けてくれたのだろうか。

はたまた偽善か、自己満足か…

なんにせよ、この女性が自分に危害を加えるような相手だとはヒイラギには思えない。



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