8:名無しNIPPER
2019/03/30(土) 00:19:48.56 ID:70xLl5pa0
家に帰ってすぐベッドに仰向けになって天井を眺めた。そして名刺を自分の目の前に掲げる。
私は昔ピアノを習っていた。でも普通の私は、芽が出なかった。自分より上手い人なんか周りにたくさんいた。だから、諦めた。
アイドルの世界だって同じ。周りに私よりすごい人はいっぱいいる。私より輝いている、私より歌が上手くてダンスもできる、私よりも可愛い子なんかたくさんいるんだ。私なんか見向きされない、私のどこがいいと思ったんだろう。
だけど嫌だな。何もしないで諦めるなんて。私はそんなに簡単に諦めるんだっけ。自分がわからない。
私は本当にアイドルになりたいのかな。
……なりたいんだろうな。
輝くあの姿に密かに憧れていた。普通だからなれないとばかり思っていた。だからーー。
「やりたい、私、アイドル」
私の今出た言葉は誰かに伝えようと意志を持って飛び出した。
それは、誰だろう。あの男の人なんだろうか。
そして、私は涙が出た。スーッと目尻から指先でなぞるように温かい感触が伝わってくる。
なんで、涙が出るんだろう。わからないや。
その意味を、いつかちゃんと分かる時が来る。
変な確信だけど、自信がある。
普通な私が、特別に憧れて、特別へと昇華したい。
できるかな、できる、できるよ!
私は、普通だけど、憧れを、誰よりも、強く、強くーー。
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