116:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/15(月) 10:40:01.89 ID:SWPDcXJr0
*
街のあちこちを歩いて回った。
透子がずっと住んできた街。
俺にとっては、ついこの前、ふらりとやってきた街。
けれど今では、印象深い場所がいくつもある。
駅前。砂浜。麒麟館。透子の家の近くにも行ってみた。
少しでも透子のことを知る手がかりがほしかった。
どんなに些細なことでもいい。
欠片でも、破片でも、断片でも、なんでもいいから。
「……もう、俺一人じゃダメなのか……」
染みついた感覚はなかなか抜けないもので、無理だとわかっているのに、つい耳を澄ませてしまう。
『私、未来が見たいのっ!』
あの時、そう言った透子の気持ちが、今ならわかる。
大切な相手と離ればなれになるかもしれない。
また傷つけてしまうかもしれない。
未来が見えたらいいのに――そう思わずにはいられない。
透子と一緒に。
透子と一緒の。
そんな未来が、見えたらいいのに。
天高く輝いていた太陽が、西の空へ、海の向こうへ、ゆっくりと落ちていく。
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20