22:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/04(木) 00:27:19.72 ID:dmglIwuH0
「幻覚のようなものが見えるとき、何かきっかけがあるだろう?」
「……うん」
「それがあると、たぶん見えやすい」
すると、透子は首から下げたネックレスの飾り玉に触れた。
「ガラス、でいいの?」
「うん。きらきらしたものとかなんだけど、ガラスが特に」
「じゃあ、そのまま、ガラスに意識を集中させて」
百聞は一見に如かず――この場で互いの体験を共有することができれば、透子の不安や悩みもいくらか和らぐに違いない。
透子はガラスの飾りをじっと見つめる。俺も母さんの演奏を聴くように集中を高める。
果たして――『それ』は起こった。
最初に『見えた』のは、鮮やかな静止画。
昼間の日乃出浜港駅のホーム。
線路の上に並んで立つ、透子の四人の友人たち。
そして反対側には、一人で立つ透子。
そのイメージはやがて中心に向かって歪み、直後、
《――私も、未来が見たいの――》
透子の《声》が、『聞こえた』。
「……今の、私?」
透子が驚きに満ちた表情で俺を見上げる。思っていた以上の収穫に、俺は自信を持って頷いた。
「やっぱり君がいると、俺にも《映像》が見える」
「こんなにはっきり見えたこと……今までなかった。それに声まで」
自身の《未来の欠片》の変化を反芻する透子。と、彼女は小さな疑問を口にした。
「でも、どうしてこれが未来だってわかるの?」
改めて問われると、客観的な根拠はない。あるのは経験則のみだ。
「俺がそうだったからとしか」
「ん……?」
納得しているような、いないような、なんとも言えない表情。
もちろん《未来の欠片》には不明な点も多い。というか、そこを解明したくて、俺は今こうして透子と一緒にいる。初回でこれだけの結果を出せたのだから、十分だといえよう。
「今の通り、二人の時は《映像》と《声》、両方がわかるんだ」
俺がまとめると、透子は、きょとん、と大きな瞳を俺に向けた。
「それを知って、どうするの?」
「っ…………!」
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