38:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:35:20.74 ID:4h98r15f0
答えを求めるように、俺は母さんの演奏を再現するオーディオプレイヤーに目を向け、ふと思う。
俺にとっての《未来の欠片》と、父さんにとってのこれは、似たようなものかもしれない、と。
「いつも聴いてるの?」
ずっと母さんと一緒にいた俺は、父さんがこの家で一人、どんな風に暮らしていたのかよく知らない。けれど、
「ああ。おまえがいると恥ずかしいんだが……まあ、聴いてるかな」
少し照れつつも、穏やかに目を細める父さんを見て、俺は同志を見つけたような気持ちになる。
「俺も母さんの演奏の中じゃ、好きなほうかな」
「……そうか」
きっと父さんは、こんな朝を何度も過ごしてきたのだ。
離れて暮らしていても、この旋律によって、父さんと母さんは繋がっている。
二人の子供として、俺はそのことを純粋に嬉しく思った。
ただ、それと同時に。
独り立ちの時が迫ってもなお決心がつかず、
《未来の欠片》という不安定なものしか頼るよすがのない俺は、
深い繋がりを持つ二人を、心の底から羨ましいと思った。
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