40:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:42:49.91 ID:4h98r15f0
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麒麟館近くの坂道を下っていたときのことだ。
近づいてくる雨の気配に、俺はバックパックから雨具を取り出した。
そのとき、坂下に見覚えのある女の子の姿を見つけた。
会うのは二度目で、まともに喋ったことは一度もないが、傘も持っておらず、その上、足を引きずっていた。
さすがに無視するのは後味が悪い。
「――こっち」
問答無用で合羽を羽織らせ、ちょうどよく蔦が屋根になっている擁壁の下にリボンの子を案内する。彼女は驚いた様子だったが、状況が状況なのですんなりと俺についてきた。
「……ありがと。一人だったら、やばかったかも」
礼を言う彼女に、俺はとりあえず名乗ろうとしたが、
「ダビ――沖倉、カケル」
透子か誰かから聞いたのだろう、彼女は既に俺のフルネームを知っていた。
「君、透子の友達だよね」
「高山やなぎ」
やはり、この子が『やなちゃん』か。
幸い、永宮やイミユキナリほどには俺を警戒していないようだ。
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