92:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:17:12.39 ID:sOMkQtx30
*
……今日はもうダメだ。一度切って、明日また掛け直そう。
十コール目が鳴ったとき、俺は諦めて受話器を下ろしかけていた。
「っ――!」
ざっ、と回線が繋がる短い信号が聞こえ、慌てて受話器を耳に押しつける。
『………………』
透子の息遣いが感じられるようで、思わず手に力がこもった。
「大丈夫か?」
恐る恐る尋ねると、透子はいくらか回復したような声色で、うん、と答え、
『あれ……なんだったの?』
と問い返した。
「すまない。俺にもよくわからないんだ」
だが、わからないからと言って、投げ出すつもりはない。
「会わないか?」
『えっ……』
「またあんなの見そうで怖い?」
気が逸り、語気が強くなってしまう。透子は躊躇いに言葉を詰まらせたが、心を奮い立たせるように言った。
『……どこにする?』
「そうだな……」
麒麟館や海には近づきたくない。例の高台に行くには少し時間が遅いし、となると――。
『私、ジョナサンに会いたいかな』
学校――それはいい考えだ。
「じゃあ、一時間後に」
『うん』
透子に拒絶されなかったことに胸を撫で下ろし、俺は急いで支度に取り掛かった。
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20