【グラスリップ】透子「かけるくん?」
1- 20
91:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:09:26.16 ID:sOMkQtx30
<第8話 雪>

「透子――ッ!?」

 海のほうに走り出した透子に追いつき、俺はくずおれる彼女の肩を支えた。

「いや……っ! いやああああっ!?」

 透子はひどい恐慌状態に陥っていた。とにかく落ち着かせなくては。俺は休めるところを探す。

「どこか、日陰っ……!」

 俺の言葉に、高山が後ろを振り返る。休憩所のテントが見えた。俺は透子を抱き上げ、そこまで運ぶと、シートの上に寝かせた。

 透子は悪夢に魘されるように唇を震わせ、ものすごい力で俺の腕を掴んでくる。

「っ……!」

 瞬間、目が合って、透子の瞳に正気の光が戻った。

「――今の――」

 弱々しく何かを呟く透子。しかし、それは高山の心配そうな声にかき消された。

「透子、大丈夫……? びっくりしたわよ。何があったの?」

「なにが、って――」

 透子はふらつきながらも上体を起こし、眩暈を振り払うように首を振る。

「――ごめん、よくわからない」

「……とりあえずは、心配なさそうね」

「うん……」

 透子が表面上は落ち着きを取り戻し、高山が安堵のため息をつく。

 だが、俺の心臓は、なおもどくどくと不快な脈動を続けていた。

 その不安を裏付けるように、透子の怯えた目が俺を捉える。



《――お似合いのカップルね――》



 突き放すような高山の《声》とともに、透子へ襲いかかった鳶の群れ。

 《未来の欠片》というには、あまりに不穏で、不吉な断片だった。

「うちまで送るわ」

 なんと声を掛けるべきか迷っていると、高山が事態の収拾に動き出した。そうしてやってほしい、と頼む以外に、俺は何もできない。

「きっちり説明してもらうから」

 高山は、透子だけでなく俺の様子もおかしいと気づいて、こっそりと、だが力強い口調で、そう告げた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice