94:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:36:59.66 ID:sOMkQtx30
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空は黄昏れつつあった。時計を見ると、そろそろ六時になろうとしている。
透子は校庭にいて、一心に鶏の素描をしていた。俺に気づくと立ち上がって、でも、あるところで迎えの足が止まる。
脳裏をよぎるのは、海で見た不吉な《未来の欠片》。
「私たちって……もう並んで座れないのかな?」
「……そんなことはない」
そんなことに、するつもりもない。
ただ、もちろん不安がないわけではなく、やがて俺たちは並んで座ったが、しかし、
「あれ、なんだったのかな。私、駆くんに近づくのが少し怖い。……ひどいよね」
そこには、以前まではなかった距離があった。
「……俺もあれがなんだったのかわからない。だから、確かに透子に近づくことに、今は少し躊躇する」
沈んだ面持ちで黙りこむ透子。
どうにかしなければ――そう考えるが、焦りばかりが募る。
互いに言葉が見つからない、気詰まりな沈黙。
そのとき、ぴんぽんぱんぴん、と透子の携帯が空気を読まずに鳴った。どうやらメールが届いたらしい。差出人は高山あたりだろうか、と推測していると、
「ぅえええっ!?」
いきなり上がった頓狂な声に、俺は驚いて振り返った。
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