95:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:42:13.59 ID:sOMkQtx30
「あっ、い、いや、妹から。ゆきくんがやなちゃんになっちゃったって」
ちょっと状況がよくわからない。だが――。
「こないだひなちゃんに、あっ、妹、陽菜、っていうの。ひなちゃんに、ゆきくんが実は水泳部の――」
こういった他愛ないお喋りは、透子の不安を和らげる助けになる。
「あっ……ゆきくんの話、嫌じゃない?」
話を中断して、俺の反応を伺う透子。気遣いはありがたいけれど、今は透子の精神衛生のほうが大事だ。
「水泳部の、なに?」
続きを促すと、透子は表情を明るくして話を再開した。
「あっ、うん。水泳部のアイドルだって――」
それから透子は、ランニングでいつも同じ時間に現れる井美雪哉が、妹の所属する水泳部で話題になっていること、それが今日になって、井美雪哉の代わりに高山が走って現れたこと、などを話してくれた。
なぜ井美雪哉の姿が見えなくなったのか、なぜ代走のように高山が現れたのか、透子はそのあたりが気にかかるようだった。
「やなちゃんに電話したんだけど、なんか繋がらなくて……」
「話だと、高山が慌ててるって感じでもないし、心配は要らないと思う」
「そうかなぁ、だといいなぁ……。あっ、駆くん、もしかして私のこと心配してくれてる?」
もちろん、心配している。今の透子はひどく不安定に見える。懸念はできるだけ少ないほうがいい。
「井美雪哉のことなら、心配する必要はないと思うけど、そんなに気になるなら、あとで彼の家に一緒に行ってもいい」
「……うん」
少し照れたように頷く、透子。
話が一段落し、また間が空くが、先程のような気まずい沈黙にはならなかった。
透子のお喋りを聞いて、俺もいくらか落ち着けた。
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