七草はづき「夢の中でイってみたいと思いませんか」
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105: ◆OBrG.Nd2vU[sage]
2019/05/26(日) 20:19:57.94 ID:CthGYFyA0

「先輩、今日はもう上がってください。記念日なんでしょう? 彼女、落ち着きなくて見てられませんよ。後は僕たちで片付けますから」


デキのいい後輩プロデューサーが俺にそっと耳打ちしてくる。

今日は手コキされながら流血した日からちょうど一年。交際一周年の記念日というやつだ。

というかそんなこと何でこいつが知っているんだろうか?喋った覚えはないんだが。


「見てればわかりますよ。今日は二人共ずっとソワソワしてたじゃないですか」


鋭い洞察力を持つ後輩に感心しながらも、俺は余計な気を遣わせていることを恥じた。

職場に私情を持ち込むなど言語道断だ。


「ありがたいけど、自分の分の仕事はちゃんと自分で……」

「そもそも、その『自分の分』が多すぎるんですよ。僕に回す配分が少ないですよね? 先輩は気を遣ってくれているつもりかもしれませんけど、僕は成長する機会を奪われているのも同じなんです」

「うっ……そんなつもりは」


こいつ、そういうのもちゃんとわかっていたのか。若いからといって、このイケメン後輩プロデューサーのことを甘く見過ぎていたかもしれない。さすが社長がスカウトしただけのことはある。マスクは甘いが仕事には甘くない。


「僕たち仲間じゃないですか。たまには頼ってください」

「しかしだな……」

「こいつで決めようぜ!」


凡骨事務員がニヤニヤしながら五百円硬貨を俺たちの眼前に突き出した。


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