18:ある通学路 ◆hLz/L9qHlWWQ[saga]
2019/07/25(木) 01:34:28.46 ID:9/rLkwGz0
キンコンカンコーン
下校を知らせるチャイムが鳴り、生徒の下校が始まる。
沢山の子供の中に目的の少女の姿を見かけてオレはごくりと唾を飲み込む。
白いハ〇エースの運転席でハンドルを両手でギュッと握りしめると
「おらぁ早くしろよ!」
後部座席から怒号と椅子越しに蹴りが飛んで来た。
「はっ、はいぃ!」
震える声で返事をして運転席の窓を開ける。
「ちょっと、そこの、〇〇ちゃん!」
通学路の路肩に停めてあるハイ〇ースを避けるように歩道の縁石を落ちない様に歩く少女に声をかける。
運転席の窓を少し通り過ぎた所で声をかける事になり
少女はこちらを振り向いた。
「おじさん何で私の名前知ってるのぉ?」
間延びした声とぽんやりとした声。
茶髪がかったツーサイドアップの髪が傾げられた首に合わせて揺れた。
「きみのお母さんが急に病気になったから、おじさんが迎えに来たんだ!さぁ乗って!」
「えぇ?お母さんが病気?それなら早く行かなきゃぁ」
返答もなんだか間延びしている。少し気になりながらも助手席に乗るように促すと
少女は何の疑いもなく乗り込んでくる。
シートベルトを閉めようとする動作を見て俺は車内の全てのカギを閉める。
ガチャン
その瞬間に助手席のシートが後ろから倒された。
「きゃあぁ!?」
「さっさと車出せ!」
シートが倒れる音、少女の驚く声、男の声にオレの情けない返事。
全てをかき消すエンジン音と車の発車する音。
オレの視界の端で後部座席へと引きずられて行く少女の足が虚しく空を蹴っていた。
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