476: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/10/10(木) 23:18:57.75 ID:U2snit8u0
「西住殿、どうしたでありますか?捕虜を取っても我々はどうしようもないでありますよ」
右脇から優花里さんが側に出てきた
「黒森峰の第2試合はこれからなのにもう決勝の挨拶とはすごい自信だな
しかしお前を信用して受け入れたはいいが、どうする気だ?向こうが求めるなら、今回の援軍の件を考えて、乗っても良かった気がするが
信用するから、その理由だけは隠し事なく教えてくれないか?それが……生き残るのに必要かもしれん」
信用。確かに重要だ。止むに止まれぬ理由でまとまらざるを得ないチームが勝てるほど、黒森峰の団結は甘くない
前に一度似たようなことを話したからか、果ては私がかつての私に戻りきってしまったからか、前みたいに倒れたりするようなことはなさそうだった
それに私だけ腰掛けるのも、皆に雪の上で座布団もなく座らせるのも、どちらも気が引ける
「皆さんすいません、ワガママ言って……まだ話してませんでしたね。私が黒森峰を去り、戦車道を辞めた、いえ、辞めようとした理由……」
「聞いたぞ?プラウダに虐待されたからじゃないのか?」
河嶋隊長の指摘に笑顔を見せようとした。しかし記憶が口角を上げるのを邪魔する
「いえ……確かにそれは辛かったんですが、自分のせいじゃない辛さです。苦痛で泣いても、終わればまた明るい気持ちにもなれます」
周りは少し近くの者の顔をのぞいていた。前に話を聞いているだけに、これまた飲み込める話ではないのかもしれないが、事実だ
「それよりも耐えがたい、日が昇るように何時までも思い起こされ続くもの」
華さんの顔に水滴が見える。雪が溶けたものでは無いようだ。きっと勘の良さを備え付けているのだろう。華道とはそういうものなのか?
「私が戦車道を辞めた本当の理由は……」
優花里さんが吐く息も白く染まる。周りを漂う霧の中から、私はまた嫌なことを引きずり出す。流石に本能が、足を震えさせ止めようとしてくる。五感も次第にあの場へ引き戻される
が、話さない意味はない。戦いの意味の一部はここにあり、1番長く生きるのは私ではないのかもしれないのだから
708Res/678.46 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20