489: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/10/13(日) 23:28:03.90 ID:ps5/gbfR0
近い。近い。本当に近い。同じ布団に入った2人が顔を見合わせているのだから当然といえば当然だ
「フフ」
この時はまだ私の方が余裕があると思っていたし、どう見ても向こうは慌てていた。だがゆでダコの触手が手に触れた時、私の手が細かく震えていたことに気づいた。向こうの表情は驚き。ホントに分かりやすくて助かる
何故か。戦場、敵、そしてそれが示す運命
この震えの原因は一つしかない
そうか。私は分かってしまっているのだ。そこにいたが故に
「みっともないでしょう?私……死にたくない。明日の試合が怖くて、手が……震えてしまうんです」
「そ、そんなの当然です!誰だって死ぬのは怖いであります!」
思わず半身を跳ね上げる。そうだよな。だが私がその感情を持っていること、それが何よりも恐ろしいのだ
「だから、こうして人の近くにいれば、治って眠れるかなって」
その隠匿に比べりゃ、このぐらいの嘘は遥かにマシな代物だろう
見合わせたまま視線をそらそうとはしない。気をそらそうと辺りに耳を傾けようとすると、周りから小さいが淫猥な声がする。場所は一ヶ所からだけではない。彼女の顔が赤い理由も、一部はそこにあるだろう
「えっ……と、西住殿が近づいてらっしゃるのは……周りの事が少し……関係しているのでありますか?」
しっかし久々だなぁ、この環境。私は混じる気は無いが
「周り?ああ、この声のことですか。それなら関係無いです。もう慣れましたから」
「へっ?」
「どうやら人間命の危険を感じると、そうしたくなるらしいです。黒森峰の時も硬式の試合前の夜毎回聞かされましたから」
「……なんかイメージ崩れるであります……」
「やっぱり黒森峰の者でも人間なんです。当たり前ですけれど……」
基本戦車道を見るとしたら、テレビか雑誌かあたりだろう。そこにあるのは、戦車道の中でもかろうじてまともな部分だけ。最早それは『戦車道』ではない
天井を眺める。天井にはうっすらと木の黒い年輪が流れる
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