499: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/10/17(木) 20:38:13.33 ID:zgNk9AA8O
処刑当日、目の前の者はコンクリートの床の上で口を塞がれ、手足を縛られて転がっていました。周りには姉を含む他の隊員が立っていました。きっと私の醜態を見届ける気だったのでしょうね。床の上の者が暴れれば直ぐに近くの者が殴って黙らせます
私の手には処刑用のモーゼルC96が握られていました。本来は拳銃の中でも遠距離向きなものなのですが、国内でも日中戦争での将校の捕獲品として辛うじて残っていたため、黒森峰でもステータスシンボルとして使われていました
心臓が激しく鼓動し、手は汗で銃を滑って落としそうなほど濡れていました。元から重かった、というのもありますが
「みほ、早く撃て」
足は震え、顔は硬直し、口は手とは逆にたった一滴の水分も含んでいませんでした
「撃たないと周りの者がこいつが暴れる毎に抑えているんだ」
脳の半分は認めていました。しかし残りの脳の半分と身体が撃つことに抗っていました
「その者たちの苦労も考えろ」
目の前の者が再び暴れ出し、他の隊員が顔面を何度も殴って鎮めます
「お前は、自分の意思で人を撃つことを決めたんだ。撃たなければならないんだ」
そう、それを自分の意思で決めたこと。歩兵ではなく処刑人になること、それを決めたのが私であることが重く心にのしかかります。そしてここにいるためには、撃たなければならないことも
「どうした。こいつは黒森峰の敵なんだ。撃つんだ。お前は学園長に忠誠を誓ったんじゃないのか」
目の前の者は反抗する力を失ったのか、唸りながら涙を流します。撃ったらどうなるとかは考えられませんでした。ただ引くか引かないか、それだけが頭の中で揉めていました
「その指を、引け、引くんだ、早く。お前が黒森峰SS装甲師団の者ならば」
この揉めごとの決着はなかなか着きません。頭の混乱が内臓にまで及ぶような感覚に襲われます。胃が裂けるのでは、と本気で思いましたよ、あの時は
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