505: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/10/17(木) 20:42:36.30 ID:zgNk9AA8O
「ところで、もう一つのお話というのは何でありますか?」
優花里さんが次の話を振ってきた。ありがたい。精神的交流を図れた以上あまり用はない。そもそもどちらも好んで使いたい話題じゃないんだから
「もう一つは、生き残ったあとにあることです。生き残った後、私達は亡くなった方の親御さんに会わなくてはなりません。そこであるのは、親御さんからの追求です。生き残ったら避けられません」
「……でも、我々にはどうしようもないでありますよ」
「そうです。もうどうもできないのです。しかし向こうは大事な家族を失ったのです。どうしてあなたが生きていて、娘が死んだのだ、と思う気持ちは止められないのです。たとえそれが運に左右されるものだとしても」
「……大事な人を失う……でありますか」
「そうです。それも自分の腹を痛めて産んだ子を
私も去年の大会の後、多くの親御さんに会いました。姉は植物状態だった為、私が公式記録や見た情報を元に報告しました
とはいえ文字では不十分な上、私も全てを見たわけじゃありません。特に収容所に入れられてからは、同じ奴らに嬲られた集団を語るだけで精一杯でした
そんな不完全な情報でしたから、親御さんの一部は『報告なんて聞きたくない!』と叫んだり、人によっては私に掴みかかってくる人もいました。そういう人はSS歩兵師団の人に有無を言わせず連れ出されていきました。わめきながら肩を掴まれて連れ出される姿は、どんどん私の中に蓄積されました」
「……そう言いたくなるのもわかる気がするであります」
そうだろう。特に親に手紙を残したいと思わせる親なら、親からの愛情も相当だろうし
「もしかしたら明日私が死んで優花里さんが生き残るかもしれません。そういう事もあるのだと知っておいてください」
「……分かりました」
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