600: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/11/07(木) 20:58:50.06 ID:rYNwkNdDO
「当たった!」
「殺ったか!」
「分からん!」
敵は弾とともに土煙の向こうに消えた
「もう1発、照準そのまま撃てッ!」
「定めなき浮世にて候へば、一発先は知らざる事に候!」
左衛門佐はエルヴィンによる装填が確認され次第、即座に引き金を引いた。轟音と共に車内に薬莢が排出される
「次ッ!殺るまで何発でもだ!」
エルヴィンは75ミリ砲弾を掴み、その後ろを拳で砲尾に押し込む
「3発目!」
車内の揺れで頭に載せた帽子とゴーグルがずれるが、大した事ではない。次の砲弾を装填する
「4発目!」
地面を這うように行く砲弾は土を巻き上げる。エルヴィンは次の5発目の装填に移ろうとする。しかし敵は土煙を掻き分け、やっと彼女らの目の前に姿を見せた
茫然とするしかなかった。今まで何事もなかったかの如く、堂々と彼女ら目指して前進していた。車輌正面には四つの凹みというか擦り傷というか、がついているだけである。何度も砲隊鏡を眺めるが、変わらない
「やっぱり、キングタイガーはモノが違う」
不思議と口角が上がる。しかしその逆説的に至福の時間は長くは残されていなかった
間も無くティーガー2の砲身がIII突をゼロ距離で狙う。今までの音よりはるかに大きく、低い音が響く
正面右側に垂直に命中した88ミリを止められる筈がない。寧ろ後ろのガソリンエンジンまで撃ち抜かれたのだろうか、コンビニは一瞬の内に炎に包まれ、III突と共に丸ごと焼き尽くした
そのコンビニ跡前を左折し、ティーガーIIは悠々とその重い車輌を走らせていった
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