629: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/11/14(木) 21:13:20.62 ID:JuXJT1NJO
優花里さんを腕を引っ張り上げて背負うと、若干でも瓦礫で塞がった道を選んで進む。まだ偵察はいる可能性が高い。そしてその時、今の私は戦えない
時折更に建物が崩れる音と、遠くから銃撃音、砲撃音を耳にしつつ、ある場所を目指す
「西住殿……やっと、遺書に書くような事以外にお話ししたい事が浮かんだので……今度は自分の話をしてもいいですか?」
「どうぞ」
この段階になって呼吸もある程度落ち着いてきたようだ。ある程度、でありまだ荒いが。死に目まで気を紛らわせるのに付き合おう
「酷い大会になってしまったけど、一つだけ良かった事があります……」
耳元に息がかかる
「ずっと……お母さんの言葉が、怖かったんです
『あなたが戦争で遊ぶのは、何も知らないからよ!本物の戦争を経験したお年寄りや、戦争で亡くなった方と遺族に、失礼だと思わないんですか!あなただって、実際に自分が撃たれたら、そんなの大嫌いになるに決まっています!』
って」
だろうな。私だって初めて会ったあの場で殴りかかろうかと思ったのだ。日常的に出会っていたら、キレていてもおかしくない。まぁ幸いそうはならなかったわけだが
「悔しかったけど、もしかしたら、そうなのかなと思って……言い返せませんでした。でも……こうなった今でも、ティーガーとパンター、7TPは、カッコよくて、好きであります」
だが、これが彼女なのだ。戦争を嫌っているかとその道具が好きか。それを別個に捉えている。そしてどれだけそれを取り巻く環境が悪化しても、芯は揺らがない。率直に言って羨ましい。いや、それができても楽しくない私にしたら単なる僻みか
「やっと、自信を持って、言えたのであります……」
荒れる呼吸の中、その合間を縫うように一言ずつ伝えてくる
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