682: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/11/21(木) 21:34:16.19 ID:jvZx0O4gO
「ここの床は綺麗じゃない。とりあえず立ちたまえ」
「はっ……」
学園長閣下の手であった。そのままゆっくりと引き上げてくださった。学園長の背はあまり高くなく、私でさえ少し顔を上げてしまえば目線が合ってしまう
沈痛な面持ちが、そこにあった
「詳細な報告をありがとう……君の健闘及び職務遂行には感謝するが……黒森峰はもう終わりだ
北部で日村君のSS歩兵1個大隊が、北東部で久手君の防衛隊装甲第2部隊が、南西部で高鳥君のSS装甲第9部隊などがそれぞれのなんとか敵を食い止めているが、他の戦線は君が見てきたようにもう崩壊している。外はあの有様だ
今ならまだ戦線が構築できている北から逃げられる。健軍町の方に逃げなさい」
肩に置いたまま、しっかり目を合わせて、私に、私なんかに伝えてくださる
「しかし……私は試合に負けた上、命令すら実行出来ず、さらに部隊のものを纏めて救援に向かわせることすらできなかった黒森峰稀代の愚将です。そのようなお言葉を受けるほどのことは……」
「今日の事態を招いたのは君のせいじゃない。これまでの私の行いのせいだ。気に病むことじゃない。君はその厳しい枠内で、最大限のことをしてくれた。これは、私がどうにかしなければならない問題だった」
肩から手を離して背を向けなさる。先程の茫然とした感覚を身体に残しながら、目線を学園長閣下の方に向け続ける
「私は……黒森峰と学園長に忠誠を誓いました」
「脱出しなさい」
だから……と続けようとした私の言葉は遮られる。ドアノブに手を掛け首だけをこちらに向ける
「君には本当に申し訳ないことをした。だがそれでも私に忠誠を誓ってくれてるのなら、この老いぼれの最後の命令を聞いてくれないか
命をムダにすることはない。君みたいな勇気ある人間は生きるべきだ」
持っていたドアノブを捻って、階段の下へと学園長閣下は消えていった
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