17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/10/09(水) 23:54:39.70 ID:uq0zJpXS0
「ぷ、ぷろりゅーさー、しゃん……」
千雪の呂律は回っていなくて、それがなんだかおかしかった。
『今日は私が』と千雪が言ったお願いを忘れたわけではない。ただ、俺も少しばかりわがままとやらに身を投じてみたくなった。騎乗位でずっとされているよりも、こうやって、対面座位で、千雪と向かい合いたかった
指をほどいて、彼女の髪の毛をかきあげる。お願いが聞き入れられなくて、不満そうな顔をしていると思ったが、そうでも無かった。耳まで真っ赤になって、運動をした後みたいな頬で、潤んだ瞳で、見つめられる。
頬に手を添えて、親指で千雪の唇の端を撫でた。唾液で濡れ、グロスを塗ったように光を反射している
千雪がまぶたを閉じた。合わせてキスをした。千雪の手は俺の後頭部に回っていて、耳を塞がれるように添えられている。脳の中で、千雪と奏でる唾液の音が反響する
息苦しくなって、千雪の肩を二回ほど優しく叩いた。千雪はそれに気がついて顔を離した
キスの水音が無くなると、代わりに千雪が奥まで突かれることで出す喘ぎ声と、ピストンによってぬちぬちと粘ついていく愛液の音がよく聞こえた
繋がり合ったまま見つめ合って、互いに互いを求め合っていると、千雪への、自分の胸中にある澱のような感情がまとまっていくのを自覚する。
「千雪」
感情の正当性は、今はどうでも良かった。吐き出さない方が良いだろうという思考は投げ捨てた。俺と千雪は、プロデューサーとアイドルだ。だけれど、だとしても、止まらなかった。
止まれなかった
「……好きだ」
千雪のことが。4シーズン、ずっと二人三脚で頑張ってきた君が。一緒に観覧車に乗った君が。夢を諦め、夢を選んだ君が。
俺のボタンを、直してくれた千雪が。
「好きだ」
「……っ!」
千雪が頬に赤色を足す。繋がっているところが、更に締め付けを強くした
この思いは、毒のようなものだ。千雪にとって、良い物ではない。でも、渡さずに堪えきるには、俺の両手は小さすぎた。
堰を切ったように、千雪に言葉を投げる。月の綺麗さを謳うような、回りくどい方法はとりたくなかった。ただ2文字を、何度も、何度も。
あまり普段は言ってない。大人になって、そういうのは恥ずかしいというか、ダイレクトな言葉に直すのは照れが発生する。
けれど、この想いも伝えられないような人間が、これから先に設置してある「破滅」に、立ち上がることが出来るわけないだろう。
千雪とこうなった。だから、千雪だけは絶対に守る。これは、自分に課す縛りのような毒だ。
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