10:名無しNIPPER[saga]
2019/10/13(日) 16:34:21.74 ID:Bh2qsw+10
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「この日のために瓶ビール買っといたんだよねー! いやーよかったー!」
友紀の声がかすかに反響する、浴室特有のクリーム色の壁。ユニットタイプではないが一人暮らしのサイズだから、俺と友紀が入るとだいぶ窮屈で、タイル部分に二人居るなら立つしかない。
互いの手には中瓶一本栓抜きひとつ。もちろんそれだけでは終わらず、水を張っていないバスタブの淵にメーカーの互い違いで10本が整列し、挙句、30本近い瓶がバスタブの底に控えている。その行き場のない茶褐色の林立を覗き込むと、船倉いっぱいに押し込められた奴隷の一団を俯瞰しているかのような錯覚にとらわれる。なお、冷えているのは手元の二本だけ、とのことだ。しなびた浴室の高温多湿の中では、その選ばれし二本は光り輝いているようにさえ感じる。
俺は友紀から短パンを借り肌着一枚になり、友紀は法被を脱いだだけの軽装で、汚れ果てる準備はとうにできていた。
ただ、ここまで一瞬の淀みもなく誘導してのける友紀の才覚には驚きだった。さすがノセ上手。
「でも、ありがとね!」
ボッ立ちの俺に続けて、
「マジック点灯でビールかけなんて気が早い! て言われるかと思ったから」
あはは、と軽い笑いが浴室に浮く。
「気が早いとは思うけど」
片手の瓶を軽く降ると、友紀も真似してゆすり出す。
「風呂場でビールかけって、よく思いついたなって。それ聞いてから居てもたってもいられなくなったってのが、正直なとこだ」
友紀の顔が、それまで以上にぱあっと明るくなる。
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