3:名無しNIPPER[saga]
2019/10/13(日) 16:16:20.56 ID:Bh2qsw+10
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勤め人と学生と老人でできた雑踏、時刻は夕暮れ。
いつもよりずっと早い時間帯の退社は、臨時ミーティングという見えすいた方便が可能にしたものだ。まあ、そのお題目で呼びつけられたのは事実だし、モチベーション管理という意味では仕事の一環と言えなくもないーーもちろんそんな寂しいことを言うつもりはない。
家からも事務所からも大して遠いわけじゃないが、通常の行動範囲では来ることもない、そんな町の、安アパート。
錆び付いた集合ポストの横を通り、もうちょっとマシなところに住めるだろうにと思いながらチャイムを押して十数秒。ドアが開く気配はない。だが中に人がいるのは確かだ。何しろ俺は、彼女に呼ばれてここにきたのだから。
それに、正直予想はしていた。
何しろペナントレース終盤。
今日の勝敗如何でマジックが点るか否かの分水嶺だ。部屋の主は、ドアの外のことなど頭の片隅にもないだろう。もう長い付き合いだ、それくらいじゃ怒る気にもならない。
しかしいつまでもここで立ちん坊しているわけにもいかないので、もう一度チャイムを鳴らそうと伸ばした手を、一度きりの着信が止めた。文面はこうだ。
『あいてろら』
「…………」
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