4:名無しNIPPER
2020/02/03(月) 23:30:54.92 ID:MEl38wfp0
「乾杯っ」
チンッという音をたてて、二つのグラスが軽くぶつかる。中に入る真っ赤なワインが僅かに波を建てる。
グラスを傾け、一口だけ飲む。香ばしい果実と、アルコールの苦味が口内に広がった。
初めて飲んだ時は、つい眉間に皺がよってしまい、先輩に笑われたっけ。
ふと目の前に座る、彼女を見る。
彼女は同じように一口飲むと、ほんの少し微笑みながらふぅ、と吐息を履いている。
そんな少し色っぽくて、大人な雰囲気をみるたびに本当に年下かと、疑いたくなる。
「? 何か?」
そんな風にじっと見つめていたせいか、彼女は首を傾げながら聞いてきた。
「いえ、この赤ワイン、本当に美味しいなぁと。亅
「そうでしたか。これは、神父様が贈って下さりました。亅
彼女はそう言うと微笑んだ。
「そうなんですか。えっと、イエスの血、でしたっけ?」
うろ覚えの知識を確認するように言ってみる。これでも彼女の担当プロデューサーとして色々勉強している。
「はい。イエス様が磔になる前夜、最後の晩餐において13人の弟子達に話されたのです。『このワインは私の血、このパンは私の肉。飲み、そして食べれば、私は常に皆の中に居続ける』と。」
「へえ。」
「あ、すいません...こんな事を言われては、食べづらい、ですよね...」
「ああ、いえ。大丈夫です。」
ふと、テーブルの上の他の料理を見る。
サラダやハムなど、ワインに合わせた軽めの料理が並ぶ。
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