38: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/02/13(木) 22:38:15.42 ID:PRg7Il4dO
「はい、どうぞ」
私は「プティ・アンジュ」の焼き菓子とショコラをテーブルに置いた。2人が目を輝かせる。
「うわあ、美味しそう!このマカロン、なかなか食べれないんだよねぇ」
佳代ちゃんが幸せそうにマカロンを頬張る。
さすがに、お菓子に薬は仕込めない。あれは味が独特だから、コーヒーにでも入れないと誤魔化せないんだ。
コナン君は、トリュフチョコを口にすると満足そうに頷いた。
「これ、美味しいねぇ。コーヒーの苦味とよく合ってる」
子供らしくない感想だな。どうもこの子は、子供っぽい時と妙に大人びた時がある。
ネグレクト気味の家庭環境がそうさせてるのだろうか。
コナン君がキョロキョロと辺りを見回した。
「しずくお姉ちゃんの部屋って、リビングの隣なんだ」
襖の隙間が、少し空いている。そこから、私のベッドと机が見えた。……閉め忘れてたか。
「う、うん。それがどうかした?」
「いや、珍しいなって。普通、子供部屋って2階だから」
……本当に妙な所に気が付く子だ。
「……そうね。2階は、お父さんとお母さんがいなくなった状態で残してるの。いつ戻ってもいいように」
「……ふうん」
気の無さそうな声で彼が言う。これ以上の追及はないみたいだ。そのことに、少しだけ安堵する。
佳代ちゃんがコーヒーカップを置いて息をついた。
「しずくちゃんのお父さんとお母さんって、しっかりしてたもんね……。きれいなままにしておきたい気持ち、ちょっと分かるな」
「そうなんだ。……じゃあお兄ちゃんはどこで寝てるの?」
……ドクン
心臓が掴まれる思いがした。この子、きっと無自覚なんだろうけど……異常に鋭い。
気まずい沈黙が流れる。それを佳代ちゃんの苦笑いが破った。
「しずくちゃんの部屋なんじゃないかな。しずくちゃんとお兄ちゃん、仲すっごくいいし。ね?」
「ああ、うんっ。そうなの。お兄ちゃんが布団で、私がベッド。
勉強してる時は、お兄ちゃんはリビングにいるよ」
「そうなんだ!兄妹で仲いいの、いいなあ。僕も新一と仲良くできるかな……」
「きっとできるよ。コナン君、優しくて素直だから」
えへへ、とコナン君が照れ笑いした。彼は納得してくれたみたいだ。
問題は、佳代ちゃんだ。私とお兄ちゃんとの関係に気付いたなら……
私は彼女のコーヒーカップを見る。私の願いと裏腹に、それはまだ半分も減っていなかった。
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