3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2020/03/21(土) 01:58:50.56 ID:AoPUJLA90
彼女が――八宮めぐるが自身の抱えている感情に恋と名付け、俺に教えた。それが始まりだった。
アイドルとして抱いてはいけない感情だと言うのは彼女も重々承知していた。しかし、もはや彼女はそれを抑えることが出来なくなっていた
『……うん、言ってスッキリできたよ。ありがとうプロデューサー、また明日ね』
ある日の夕暮れ、帰り支度をしているとき呼び止められた。俺としては急に何をと戸惑うものだったが、めぐるにとってはそうじゃなくて。ずっと抱えていたものを、ようやく吐き出せたらしい彼女の言葉は、途切れ途切れでたどたどしく、最後の方は震えていた
耳まで真っ赤になった顔と、涙がたまった瞳を無理やり笑顔に変えて、彼女は背を向けた。言って、ここで終わりにするつもりだったのだろう。だって八宮めぐるはアイドルで、俺はプロデューサーだから
彼女にとってのこの告白は、精算でもあったのだ。もう抱えているものはお終いにして、明日からは何もなかった頃のように、と。彼女はそれを望んでいた
俺はめぐるが歩き出す直前に、手をとった
アイドルとしてのめぐるの将来と、自分の事を慕う女性に応えようという思い。二つを天秤にかけて、後者を優先した。
めぐるは目を白黒させて戸惑った。俺も俺が何をしているのか理解が追いつかなかった。彼女の涙には覚悟も含まれていた。終わらせるために勇気を振り絞った。俺はそれを侮辱した。それだけだった
今度は子どものように、めぐるが泣きじゃくった。その後に笑った。以来、秘密の関係が出来た。
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