月岡恋鐘「長崎で逆レ●プが人気? そんなわけ無かよー」
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◆FreegeF7ndth
[saga]
2020/04/19(日) 23:35:30.12 ID:gtMoMWxlo
※04
「恋鐘ソロの仕事は、今は地元関係が多いが……料理・グルメなら、全国どこでも狙える」
「まぁ、佐世保が美味しか食べ物いっぱいあるところではあるけど、
プロデューサーとたくさんお仕事したおかげで、あらかた紹介しきったかもね〜」
コンロの網の上がにぎやかになったのと逆に、恋鐘はしみじみとした声音を漏らした。
「タイもアジもイワシもサバも、アワビもイサキも、トラフグもイリコも、
佐々のウニも、佐世保バーガーも、レモンステーキも、
海軍さんビーフシチューも、洞窟そうめんも、入港ぜんざいもやったたい」
恋鐘が調理の手を止めて、地元でやった仕事を指折り数えていく。
「……食べ物ばっかりやっとらん? うちのこと、花より団子なオンナと思っとらん?」
恋鐘は港の定食屋の家に生まれたせいか、海よりの産物を列挙したが、佐世保の市域は山もかなり含む。
明治時代に海軍の鎮守府ができて人口が急増し、足りなくなった住宅地は山を切り開いて広げているせいか、
長崎ほどではないが坂の多い街である。
「花と言うならハウステンボスの花畑。ほかはセイルタワー、パールシーリゾート、天主堂……
山の方だって三川内焼とか、とんねる横丁とか、古代洞窟めぐりとか……今だって、そこに石の花が」
「ああっ! ここに石の花がこんなに美味しそうに咲いとー♪ って、石の花はカキたい!」
そのあと、恋鐘も俺もこれという理由なしに絶句した。
インスタントコンロから飛び散るパチパチ音と、しゅうしゅうと足元から来る潮騒がやけに大きく聞こえた。
「プロデューサーとオーディションで初めて会ってから……えっ、4年ぐらい経っとる?」
仕事を数え上げてみると、長いな、と思った。体感ではあっという間だったのに。
「花……花、ねぇ……んふふ」
恋鐘は笑みを見せたが、俺はどうも引っかかるものを感じた。
いつもはニコニコと無邪気な喜色なのに、今の恋鐘は、意味ありげな――それこそアンティーカでの撮影で、うんうんうなってようやくひねり出すような――微笑を、さらりと浮かべていた。
俺の視線から怪訝がる風が伝わってしまったのか、恋鐘は、
「さぁ、食べ食べっ! うちに見惚れとったら、食べごろば逃したら承知せんよ?」
と言われると、目線を網の上の食材たちに移すしかなかった。
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