52: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 18:04:02.26 ID:p0TmPlc30
「ありえない、ありえるはずがない」
ぶつぶつと繰り返す。
見間違いなどではない。一ノ瀬は何かを仕込んだのか?
マインドコントロール、サブリミナル、様々な可能性を考えたが
圧倒的な確信の前に全て消し飛んだ。
それは確かに体験した記憶。
再び冷や汗を流す。
「一ノ瀬・・・お前、何をした!」
志希はピクリと動き、ゆっくりと口を開いた。
「何も・・・してないよ。したのは・・・キミだ」
「バカな!俺が刺したのはお前だけだ!」
唾を飛ばし叫ぶ。
「宮本など刺してはいない!」
「刺し、たんだよ。ここじゃ、ないけど」
ガタリと大きな音が聞こえた気がした。
巨きな歯車が組み込まれたような、大きな音が。
その時彼の脳裏にとある記憶が宿った。
女性を刺した。逃げようとする女性を。
金色に輝く頭髪は血に塗れ、
ハーフ故の美しい顔は苦痛に染まり、絶望に歪んでいる。
脳裏に浮かぶ彼女の名前は。
目の前にいる、彼女の名前は──
「あ、あああ・・・・・・」
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