天空橋朋花「子作り逆レ●プのお供と言えば葡萄酒ですよ〜」
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27: ◆FreegeF7ndth[saga]
2020/05/11(月) 23:33:53.46 ID:i9qakCF1o

※25

『あらら〜、プロデューサー。お久しぶりですね〜』

 ここがどこかわからないが、昔の朋花――『聖母』が、たたずんで笑っていた。
 ステージ衣装だろうか。後頭部に光輪だったかニンバスだったかを浮かせている。
 シニヨンのためにあつらえた小さなベールや、頬や肩に触れてくすぐったそうな横髪や、
 背から生えた薄紅の翼や、白と水色のドレスが、そよ風を浴びているように小さくはためく。

 ナイツ・オブ・テンペランス。
 青葉さんと朋花には悪いが、俺にとっては胸糞悪い衣装と微笑だった。

 だいたい俺はもうプロデューサーじゃない。お前だってもう死んでいる。
 文句を言ってやろうと思うが、しゃべれない。しゃべってる気はするが、自分の声が聞こえない。

『私が、死んでいる? ふふっ、面白い冗談です』

 死んでいるだろうが。
 お前は朋花に捨てられ消え失せた。
 お前の立つステージもない。

『いいえ〜。聖母は、子豚ちゃんと、騎士団の皆さんの心のなかでは、不滅です〜』

 さいですか、Ave Maria(めでたしマリア)。でも俺は『聖母』にうんざりだ。

『素直じゃありませんね〜。あなたの心のなかにも、聖母はおりますよ〜』

 前に朋花から『ジャンヌ・ダルクはミカエルにお告げを受け、3年ぐらいは何もしなかった』
 というような話を聞いたのを思い出した。

 実はジャンヌって、大天使ミカエルを『うるせーこのペテン師』と思ってて、
 ミカエルがしつこくつきまとってきたのに根負けしたんじゃないだろうか。嫌な与太話だ。

『あなたはいつもそう。聞きかじりの知識をこね回してお茶を濁すのがお得意』

 お前は、俺が知りたくなかったことをいろいろ教えてくれるようで。

『あなたは、私のせいで、あの子がひどい目に遭ったと憤慨して見せますが、
 私を一番近く一番長く祀り上げていたのはあなたです。いやもっとひどい。祀り上げ<させ>てもいた。
 これは、アダムとイヴと、エデンの蛇をあわせた罪業ですよ?』

 こいつホントに『聖母』だろうか。姿はそっくりなんだけど、言葉がずっと説教臭い。
 しかもそんな、俺が創造説や原罪を信じてる前提の言い方して……。

『ではプロデューサー。はっきり申し上げます。
 あなたは、あの子を持ち上げて、あなたのもとへ落ちる道筋をつけた』

 目の前で『聖母』がゆらゆら飛ぶ。『Maria Trap』のサビ〆みたいだ。

『あなたがあの子を止めたのは、すべてフリ。だから最後は、あの子に行かせた。
 あの子が高さに耐えかねたとき、下りる道はどうなってました?
 あなたが先んじ閉じていた……たった一筋を除いて。善意を敷き詰めた堕天の道。
 あなたが唯一楽しむ――」

 『聖母』の細い首に手が伸びていた。手を伸ばしていた。
 首は見た目よりさらに細かった。両手で絞めると指が余る。
 飛んでた『聖母』が落っこちた。咳き込みながら俺を見上げていた。

『……聖母の絲を切り落として……翼を圧し折って……楽しい、ですか……?』

 ちゃんちゃらおかしかった。俺がエデンの蛇だと言ったな?
 地を這う蛇に首絞められる天の女王は御座(おわ)せまい。蛇はカカトを噛むもんだ。

 頭に焼き付いてた、朋花の感覚が立ち上る。顔。歌声。その上に重なってくる。
 肩の細いのとか、髪や首の甘ったるい匂いとか、胸の柔らかさとか、頬の熱さとか。

 お前が、空とか飛ばなけりゃ。

『うふ、へ――へぁ、か、はッ、あ、が……っ、う、ぅぅくっ……』

 減らず口を塞いでやることにした。手は首にかけてしまっている。

 昔、正教の神品(しんぴん)だか学僧だかが、マリアの聖画像を陵辱して破門された時、
 ペニスを突っ込んだのは口だった……なんて逸話があったっけ。本は読んでおくもの……か?


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