天空橋朋花「子作り逆レ●プのお供と言えば葡萄酒ですよ〜」
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◆FreegeF7ndth
[saga]
2020/05/11(月) 23:20:26.53 ID:i9qakCF1o
※04
「……どうしても、糸で吊って宙を?」
昔の俺は、疑問文にしてはかなり刺々しい声音を出してしまっていた。
俺と朋花が初めて顔を突き合わせたのは、
朋花のデビュー曲『Maria Trap』のお披露目公演のための打ち合わせだった。
「ええ。聖母は、可能な限り平等に、子豚ちゃんたちへ恵みが届くようにするものです。
客席後列の子豚ちゃんにも……となると、そういう手が必要なんです……ですよね? プロデューサー」
俺は『Maria Trap』の作詞作曲からミックスダウンまでを担当していた。
そしてこのぶんだと、お披露目公演の音響も口を出さざるを得なくなりそうだった。
「音屋さんとしては、不本意かも知れませんが、演出として汲んでいただきたいのです」
朋花の当時の担当プロデューサー――朋花をオーディションで採用した、765プロ生え抜き――が、横からダメ押ししてきた。
彼の『音屋』というおおざっぱな呼ばれ方に、在りし日の765プロの懐事情が透けていた。
俺が関わり始めた頃の765プロは、高木社長、所属アイドルが10人かそこら、
プロデューサーと事務員が一人ずつというささやかなアイドル事務所だった。
俺は765プロから外注で楽曲作り『など』を受けていた。
765プロは制作費が少なく、上流から下流まで可能な限りすべて面倒見る器用貧乏を必要とし、
そのうちの音関係を駆け出しだった俺がよく受けていた。
765プロの高木社長やプロデューサーは、作詞作曲から音場づくりまでまとめて『音屋さん』な人だった。
……スマートフォンを何でもiPhoneと言ったりするオジサン・オバサンみたいだ。
違い意識してないせいで、俺にすべて丸投げだったのかもしれない。ムチャを言う。
「自分、アウトボードや音源を買いすぎて財布が薄かった頃、現場で日雇いやってたんです。
そこじゃ『1メートルは一命取る』って言いましたよ」
朋花と、彼女のプロデューサーは、ピンときていないようだった。
確かに、建設業や製造業ならともかく、アイドル事務所で掲げる標語ではない。
人に乱暴な丸投げの仕方をする代わりなのか、高木社長には人集め・金集め、
プロデューサーには企画・営業の能力がエグいほどあった。
彼らのプロデュースするアイドルは、数年もせずアイドル戦国時代の台風の目となった。
俺も印税で潤い、業界で名前を売ることができて、『音屋』の活動を軌道に乗せることができた。
そのぐらいの時期に朋花たちがやってきた。
「ご心配はありがたいのですが、安全確保はあなたの仕事・責任ではございませんよね〜」
「……飛び回っているときは、まともに歌えないと思ってください。
こちとら、もとはDTMerですので。凝った音場がほしければ、本職へご相談ください」
朋花――天空橋朋花――は、765プロが勢力拡大のため発足させた『39プロジェクト』で、
新たに採用されたアイドルの一人だった。俺は彼女のデビュー曲を発注された。それで、こうなった。
765プロが少数精鋭(?)から、それなりの規模と体制を築くまでの過渡期にあたって、
どうも朋花のデビュー周りの流れは、まだ小世帯だった折のやり方を引きずっていた。
朋花と出会って間もない頃の印象は、正直に言うと『歌はうまいが、なんだこいつ』であった。
「天空橋朋花は、一言でいうと、聖母なんですよ」
曲を発注された時、プロデューサーから朋花のイメージについて、
『聖母』とか『騎士団』とか『子豚ちゃん』の設定を説明された。
俺はその説明を丸呑みして曲作りを進めた。
その後、レコーディングで朋花の歌を聞いたとき、
『如月千早ぐらいの見込みがありそうだ』『正統派で売れよ』と思った。
俺は『日本でそんなこってりしたキャラづけでシーン作った歌手、あまりいないですよ』と、
プロデューサーへ『今からでも遅くないから方針を変えろ』と暗に突っ込んだ。
突っ込みが通ったら『Maria Trap』は調整し直しだが……
朋花の歌声は、そのくらいの手間は払ってやっていいものだった。
プロデューサーは苦笑いしながら『そうは行かないんです』とだけ返事した。
それから俺は、プロデューサーの苦笑いの意味を、嫌ほど味わう羽目になる。
しかも『天空橋朋花の担当プロデューサー』として。
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