天空橋朋花「子作り逆レ●プのお供と言えば葡萄酒ですよ〜」
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7: ◆FreegeF7ndth[saga]
2020/05/11(月) 23:21:05.52 ID:i9qakCF1o

※05

 39プロジェクトが順調に売上を伸ばすと、いよいよプロデュースする手が足りなくなったせいか、
 朋花のほか、如月千早やジュリアなど、ヴォーカル重視のアイドルを担当してほしい、
 との話が俺にやってきた(松田亜利沙とも、そのときからの付き合いだった)。

 俺はプロデュース業が未経験で、先のプロデューサーほどうまくできる気もしなかったが、
 あとに活きる業界の人脈が作れそう……という打算多めで、契約社員で引き受けた。

 俺の魂胆を見抜いていたのか、『聖母』天空橋朋花と俺はソリが合わなかった。

「あなたは堅実で計画的な感じですが、行動原理が少し不純な方のようですね」
「細工は流々仕上げを御覧じろ、と言いますよ。天空橋さん」
「朋花で……呼び捨てで構いません」

 天空橋朋花という少女は、その不満をズケズケと俺に言う。

「あなたにも、説明が必要ですね〜。私がアイドルとなった理由は、子豚ちゃんたちに愛を与えるため。
 子豚ちゃんというのは、私のことが好きで好きで仕方がない、困ったちゃんなファンのことです。
 中でも特に熱心な人たちは天空騎士団と呼ばれていますね。ファンクラブとか、親衛隊的なものでしょうか」
「親衛隊がいるアイドルは、大昔はよく居たようですが、
 デビュー前から親衛隊を率いているアイドルは、寡聞にして存じません」

 朋花にとってアイドルは、『聖母』として『子豚ちゃん』『天空騎士団』を統率・拡大する手段らしかった。

「困ったことに、私のことが好きすぎて、時々ケンカをしてしまう子豚ちゃんがいたんです。
 それを同級生に相談したらアイドルになることを勧められたんです。
 アイドルになれば、聖母の愛を、平等に分け与えることができるのではないかと」
「それで、空を飛びたがったんですか。俺はおかげでたいそう苦労しました」

 俺が『あんなムチャは二度とやらないでくださいよ』と釘を差したら、
 『私がアイドルを続けているのは、子豚ちゃんたちのためですよ〜』と、つれない返事。

 朋花の『聖母』というのは、自称であり、『子豚ちゃん』たちが奉る称号でもある。
 『子豚ちゃん』の熱狂と統制は名高く、俺が担当を引き継いだ時点で、もう一部に知られていた。

「子豚ちゃんたちがケンカをしないよう、指導する……それが、天空騎士団の紳士淑女のお役目なのです〜。
 集団でも、個人でも、ある程度の規律というのは大切ですからね〜」
「担当プロデューサーとしては、ファンが自発的に治安維持に取り組んでくれるのはありがたいことですね」

 規律は確かに重要だ。
 しかし、ファンコミュニティに『指導する/される』という序列の構造がある――しかも、名目上は平等である――なんだそりゃ。
 朋花は15歳らしからぬカリスマ性を持つ……が、まさか彼女だけでこんな手が込むシステムは作れまい。
 悪いオトナが後ろに居て、ツボだの水だの売ってそうな薄気味悪さを覚えてしまう。

「……何か言いたげですね。あなたに差し支えがなければ、遠慮なくどうぞ。
 あなたは子豚ちゃんではありませんから、気にすることはありません」
「あの『聖母』に遠慮せず物を言ってもいいと? 王様が抱えていた宮廷道化師みたいですね」

 お似合いなことに、音楽は宮廷道化師の芸の一つだった。
 しかし俺の立場はプロデューサーになってしまった。道化師では、いけない。

「これからは、『聖母』らしからぬ役割も、演じてもらいますよ」
「あなたが何の役割を考えているのか、楽しみにさせていただきます〜」


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