235: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/06/22(月) 21:45:51.38 ID:Zi+Dxppa0
不意に、執務室の扉がノックされた。
「はい?」
「やあ」
扉が開き、入ってきたのは研究部長であった。
「! 研究部長、お疲れ様です」
「うん、うん。お疲れ」
彼は応接用のソファに腰掛けると、ふと言った。
「…雑賀、だ。研究部長では呼びにくかろ」
「は、はあ」
「よろしい」
彼は頷いた。それから、ユウキの方を見た。
「ときにナイーブ君。ベルトの使い心地はいかがかね」
「えっ? …うん、役に立ってる…ていうか、ナイーブってぼくの名前なの?」
「お互い、君についての認識はまっさらだからね。社長と相談して、社内ではそう呼ぶことにしたんだよ。ま、気に入れば、の話じゃが」
「うーん…」
「午前中の野良リーヴォ捕獲は、彼の仕事よ。このベルトが早速役に立ったわ」
「それは重畳」
雑賀はニマニマ顔で立ち上がると、不意に真面目な顔になった。
「…実は、ウチのラボから試作品が盗まれてね」
「えっ?」
「それも、シンカクベルト…あの脱走兵が盗んでいったヤツの、拡張パーツなんだよ。例の一件以来、一応厳重に保存してはいたんだが、盗まれっちった」
「監視カメラに何か映ってないの?」
すると雑賀は、溜め息を吐いて首を横に振った。
「奴さん、カメラの位置や周期をバッチリ把握しとる。完全に内部犯じゃな。ワシとしたことが」
「…怪しいやつ、片っ端から絞り上げちゃう?」
「ならん、ならん!」
もじゃもじゃの白髪を振り乱して抗議する。
「皆、リーヴォの未来を担うだいーじな頭脳たちだ。自首してくれるなら、それが一番。だが」
「駄目なら、紫電燈…脱走兵側から接触するところを、捕まえれば良いわけね」
「まあ、そうなる」
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