59: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/06/18(木) 21:39:40.64 ID:WnA11Dh10
…
”…また、死亡した夫婦の長男、優希君の行方が分からなくなっていることから、警察は事件に巻き込まれたと見て調査を進めています。同日、近所の小学校では集団轢き逃げ事件があり、小学生6名がいずれも死亡…”
「…」
「…しゃちょー」
間延びした声に、社長は天井を見上げた。そこには、奇妙な形のシャンデリアがぶら下がっていた。
黒い針金を、ランプシェードめいてドレス姿の女の形に巻き上げてある。広がったスカートの裾には数十本の火の付いた蝋燭が立っており、虚ろな胸の中にも炎が揺らめいていた。なお悪趣味なことには、ドレスから伸びた手足と頭部だけは、真っ白な磁器のようになっていて、首を吊るような形で天井に吊るしてあった。
「何だね、火廻(ひまわり)君」
そのシャンデリアに向かって、社長が呼びかける。見上げたスカートの中の下半身は、虚ろではない白磁のそれであったが、黒い靄がかかっていて局部がどこまで作り込まれているか窺うことはできない。
そのシャンデリアの頭部が、社長の方を向いた。更に、白磁の口が滑らかに動き、言葉を発した。
「さっきの男の子ぉ…ちょっと、大変じゃないですか」
「大変なことだよ。だが、避けては通れないことだ」
社長は、あくまで穏やかに言った。
「…後天的でない、生まれながらのリーヴォ。つまり、進化はもうその段階まで来たということだ」
「いーんですかぁ? そうなったら、私たち後天性は、彼らに駆逐されちゃいそうですけど」
「そうならないためにも、最初の世代に施す教育が重要なのだよ、火廻君。あの新しい総隊長に、期待しようじゃないか」
「はぁーい…」
シャンデリアは返事すると、また虚ろな目で空を見つめ、ただの照明器具に戻った。
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