6: ◆b6RliPUDMY[saga]
2020/09/16(水) 01:36:03.90 ID:h/eO9laU0
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ツクヨミ「にゃ〜...........」
愛し敬愛する、飼い主のいない月の美しい夜のこと。
ツクヨミがとても寂しい思いをしていた時、一筋の月光が窓から差し込んできて、ツクヨミを照らした。
ツクヨミ「にゃ........?」
するとその背の三日月がまるで共鳴するように光り、ツクヨミを包み込んだ。
ツクヨミ「にゃぁぁ...........!?」
〜
俺はいつも通り獣医を閉め、自分の家の鍵を開けた。
すると、突然何か大型犬ぐらいの大きさの毛もぐれな物が俺に飛びついてきた。
俺「ぉあっ!?」
?「んにゃ〜〜〜♡ ヤ〜マ〜ト〜っ♡」
暗闇の中、その正体は分からない。
しかし、手に伝わる感覚はサラサラで、まるでツクヨミの毛並みような.......
俺「...........ってツクヨミ、か..........!?」
?「そだよ、ヤマト.........♡」
というより、ツクヨミそのものだった。
しかし俺の知っているツクヨミとは違い、身体は何回りも大きく、人間の子供ぐらいの大きさになって、クネクネと動くツヤツヤの尾は2本になっていた。
ツクヨミ「喋れるようになったぁ、ヤマトに言いたいこと沢山あるの〜、あのね、あのね.........♡」
俺「ま、まて...........ちょっと待ってくれ、ツクヨミ.........!」
俺が突き放そうとしても、ツクヨミの爪がガッチリ俺の服に引っかかり離してくれない。
ツクヨミ「まずねぇ.........あの時助けてくれてありがと、ヤマトー........♡」
俺「う、うん..........」
まるで物語の中みたいだ。
こんな風に飼い猫が大きくなって、お礼をしてくれるなんて.........
ツクヨミ「それでね、それでね〜、いつもくれるごはん、美味しいよ♡」
俺「それは、良かった........おう.........」
あれ、市販のカリカリなんだけど.......
まるで何年も会えなかった愛しい人と久しぶりに話すように、ツクヨミは話し続けた。
ツクヨミ「それでね、それでね、好きだよ、ヤマト♡」
俺「お、俺も..........だよ」
この2年、ツクヨミがいたから助かった事も何回もある。
もちろん、俺もツクヨミの事が大好きだ。
すると、ツクヨミが頬を赤らませた。
ツクヨミ「ヤマトも、私の事好き............?」
俺「........うん」
ツクヨミ「私も、好き............ヤマト..........♡」
俺「............うん」
身体が大きくなったツクヨミは、変わったように見えて今朝までのツクヨミのままだった。
いつもの可愛くて、美しい、俺にべったりなツクヨミ。
その日はそのまま俺の布団の中に入って、いつも通り一緒に眠った。
唯一昨日と違ったのは、ツクヨミの大きさと暖かさだけだった。
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