184: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:22:31.88 ID:iX/HvtXE0
しかし結局、彼女は過去を乗り越えられなかった。
十月、私たちの十九歳の誕生日に、彼女はついに孤独に耐えられなくなった。
自暴自棄になった彼女は、引きこもるのをやめた代わりにネットを通じて寂しさを紛らわそうとした。
そして、それこそ男も女も見境なく、出会っては刹那的な関係に溺れる日々を繰り返した。
もちろん、そんな生活が長く続くはずはなかった。
私は知っていた、一時の快楽に孤独を忘れることはできても、孤独そのものを消し去ることは誰にもできないということを。
彼女は知らなかったのだ、人の孤独とは決して癒すことのできない不治の病だということを。
私は思った。
もしもあの日、あの駅前で、私がそのことを伝えていれば彼女が救われる未来もあったのだろうか?
かつて私たちは言葉を必要とせず、二つの心をひとつに溶け合わせる事こそが愛だと信じていた。
そして、それが所詮は見せかけの信頼に過ぎないということを、一年前、私は紗枝ちゃんとの会話で悟ったはずだった。
しかしその時にはもう手遅れだったのだ。
私たちは数ヶ月の短い間にあまりに多くのものを共有し、存在を融和させようと努めていたので、言葉によって二つの心に境界線が引かれることを極端に恐れていた。
その結果、私たちはお互いの境界を見失ったまま醜く分裂し、そうして私の心には紗枝ちゃんの魂の断片が、紗枝ちゃんの心には私の魂の断片が、まるで呪いのようにこびりついてそれぞれに根を張ってしまったのだ。
そう、私はこの一年間、紗枝ちゃんの呪縛から逃れようともがいていた。
一度、溶け合いかけた二つの心を引き剥がすにはそれくらいの年月が必要だったのだ……
いや、むしろ私たちが真に孤独を飼い慣らし、本当の愛を育んでいくためには、二年、三年、あるいはもっと長い時間が必要になるに違いなかった。
192Res/249.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20