183: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:21:51.72 ID:iX/HvtXE0
――窓の外を閃光が走った。
土砂降りの雨音に混じって雷鳴が轟く。
私は、このクリスマスらしくない悪天候を憂いて溜め息をつき、そして言った。
「……そっか。紗枝ちゃんも、辛かったんだね」
私はベッドのわきに腰掛け、紗枝ちゃんの話を聞いていた。
彼女は布団の中に横たわり、疲労と病と絶望に空っぽになった心を天井に彷徨わせながら、まるで出来損ないのロボットのように私の質問に答えた。
彼女は高校を卒業したあと、実家に戻っていた。
そこで半年余、引きこもりのような生活をしていたという。
リストカットはその頃に覚えた、自殺未遂をして親を泣かせたこともある、そんな事も彼女は話してくれた。
私はもう、それを聞いても怒りは感じなかった。
ただただ彼女のことが哀れで、切なくて、同情することしかできなかった。
紗枝ちゃんはその間、テレビやネットからも遠ざかっていた。
何かの拍子で、私の姿をちらりとでも思い出してしまうのを恐れていたらしかった。
私は、彼女なりに過去を忘れようと努力していたのだと知って、いくらかは彼女を許してあげてもいいような気持ちになっていた。
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