188: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:25:44.55 ID:iX/HvtXE0
「私ね。紗枝のこと、もっとちゃんと知りたいの……そして紗枝にも、もっと私のことを知ってほしい。だから、もう一度、最初からやり直そう? それでゆっくり話し合って、今度こそ二人で生きていくの。たぶん、時間はかかると思うけど……でも、私たちならきっとうまくやれるよ」
私はそう言って、ベッドに横たわる彼女の、その青ざめた表情に覆いかぶさるように顔を近づけた。
「……どうしたの? 震えてるみたい……もしかして、まだ寒い? ねえ、言ってくれないと分からないよ」
「ゆかり……どうして……」
「どうして? だって、外に出したら紗枝、また自分を傷つけるでしょ? 私がいないと生きていけないって、言ってたじゃない。だから、まずはちゃんと生きてもらわないと。ね? もう絶対、リストカットなんかしちゃだめだよ。ああ、それと他の誰かに電話したり、連絡したりするのも禁止。外の世界は、紗枝にはまだちょっと早いみたいだから……。当然、ネットも禁止だからね。テレビとラジオは……まあいっか。……うん。とりあえずのルールはこんなところかな。分かった? ……分かったらちゃんと返事して。……はい、よくできました。それと、もしルールを破ったら、その時は……ふふっ、どうしたの紗枝、私まだ何もしてないよ?」
彼女の顔は恐怖に青ざめ、濁った瞳が粘ついた泥のように私をじっと見つめていた。
が、同時にその口元は奇妙な形に歪んでいて、それはまるで抑えきれない歓喜のために思わずこぼした、彼女の心からの笑顔のように見えた。
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