水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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187: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:25:13.44 ID:iX/HvtXE0

「携帯には連絡とか来てないの?」

「電源切れたままやから、分からへん……」

「携帯、私が預かってもいい?」

彼女は一瞬だけ、不審そうな目をちらりと私に向けた。
そしてすぐに何かを察したように「ん……」と答えた。

「他に、足がつきそうなものとか、ある?」

「……強いて言うなら、あの人やろか……うちが電話かけたの、あの人が最後やったし……」

彼女が言っているのは、おそらく紗枝ちゃんを担当していたプロデューサーのことだろう。

確かに、もし彼女の捜索願が出されるようなことがあれば、手がかりを求めて事務所に連絡が来る可能性もゼロではない。

「分かった。他は……大丈夫そうかな」

そうして一人で納得しだした私をよそに、彼女は虚ろな目を窓の外に向け、独り言のように、

「うち、これからどうやって生きていけばええんやろ……」

と呟いた。

「え?」

私は思わずキョトンとして、

「なに言ってるの? ずっとここに居ていいに決まってるじゃない」

そう答えて、同じようにキョトンと見つめ返した彼女の顔の、その前髪をそっと手でかき分けながら、

「ねえ、私たち、また前みたいに二人で暮らそうよ。お金は大丈夫、私がなんとかする。最近ね、お仕事の方もそれなりに上手くいってるんだ。だから紗枝は何の心配もしなくていい、ただ私と一緒に住むだけでいいの。そうすれば毎日セックスできるし、紗枝も寂しい思いしなくて済むでしょ? そのかわり、私が良いよって言うまで紗枝はこの部屋から外に出ちゃだめ。分かった?」

「え……?」



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